私とキノコ
佐古信善


a  私は山を歩くのが、ことのほか好きで、仕事の途中でも、気を引かれる山、森、林を見ると、いつの間にか、その中に入り歩きまわっている自分を見出すほどです。もちろん目的はきのこ採取ですが、それだけではなく、自然の懐の中で吸う緑の空気、土の香り、可憐に咲いている野の花、木や草のそれぞれの姿、形が、私を魅了し、それらを感じ触れることによって、自分が本来の自分に戻る満足感を味わう事が出来るのです。複雑な現代社会に生きる上での活力になっているのが、私にとっては、「自然だ」と言えると思います。とりわけ、新しいきのこは、見たことがないものへの興味が手伝って、その発見は大いなる喜びに変わるのです。

 昨85年は、私にとって価値のある楽しい一年でした。今迄一度も目にした事のなかったショウゲンジ(ただし一本だけ)、ハナビラタケ(大分ありそうなので希望の方は7月下旬から8月にかけて案内します)、マスタケ、カブラマツタケ、シイタケ(野生のもの)、サンゴハリタケ(味わって見たかった)、コウタケ、と私のレパートリーが増え、マツタケも一本採取出来(写真を撮りたい方、見たい方御案内します。ただし採るのは私だけョ...?)、アカモミタケも群生とはいかない迄も結構多く出ていました。サクラシメジ、キシメジ、花がパーッと咲いた様なタマゴタケ、貴公子然としたウラベニホテイシメジ等々、とにかく私にとっては新しいきのこに出会ったり、毎年同じ場所に出るきのこと懐かしく再会したり、と本当に楽しい一年でした。
 私が毎年楽しむ場所を二ヵ所記したいと思います。


◎飯能市下畑
 この場所には七月中旬より代表的なきのことしてタマゴタケ、アカジコウ、ホオベニシロアシイグチ、シロテングタケ、チチタケに始まり、九月下旬にはサクラシメジ、十月にかけ、ウラベニホテイシメジが出ます。地図を書いても解り難い場所ですので、希望の方は御一緒に採取に行きましょう。

◎奥多摩湖周辺
 青梅街道を丹波山村へ直進(注:峰谷橋が目標)途中峰谷橋を渡りトンネルを出たらすぐ左折(「将門庵」という旅館あり)その前を直進、坂を上がり神社の前に駐車、降り口は三ヵ所、この山を回る様に道があるが、きのこを見つけようと思うと、この道より急勾配の山を降りながら探さなくてはならないので十分注意が必要です。八月初旬より中旬にかけて、チチタケ(群生する)、ツチカブリ。同下旬より九月初め、タマゴタケ、アカヤマドリ、アカジコウ(私は山一面アカジコウという場面にであった)、アンズタケ。九月下旬は、シロアンズタケ、サクラシメジ、ウラベニホテイシメジ(別名”いっぽん”いたる所に自生せている年もある)、十月初旬はヌメリチチタケ、サクラシメジ、ケショウシメジ、ホウキタケ、アカモミタケ(見事なオレンジ色の花畑を楽しませてもらった事もある)、キシメジ(とてもおいしいきのこ)、この他に、ハナビラニカワタケ、フウセンタケ等無数のきのこが出ますが、その年の気候に左右され、例年通りとはいきませんので注意が必要です。又、この場所は、大雨、又は雨上がり時の崖崩れが心配される道路が途中にありますので、事故のないように御用心下さい。

 今年もきのこの出るのが楽しみで、めっきり春めいてきた野山を眺望しています。もうすぐ芽吹く季節を前にして、新しいきのことの出会いに希望の片鱗を託して筆を置きます。




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