研究会と博物館
吉田考造(皆野町)


a   '93年の行事の中で、特に、従来とは異なる野外勉強会が2回行われました。「きのこの企画展見学と野外観察会(7/11)」と「博物館共催きのこ観察会(9/26)」のいずれもがそのときの担当者、私の意向が配慮されたものでした。そのときの様子を簡単に振り返ってみますと、
「きのこの企画展見学と野外観察会」はオープンして間もない県立自然史博物館(秩父郡長瀞町)の企画展「キノコいろいろ」の見学と、博物館周辺でみられる野生きのこの勉強会でした。展示見学については、その主旨や構成の説明をしながら展示標本や写真パネルなどの批評をいただきました。第三者的な見方であれば、いろいろな批評もでたのでしょうが、身内的な見方であったので批評は、ほとんど出ずじまいでした。午後の野外勉強会は通常のスタイルで実施し、鑑定会は一般入館者に対する苦情を懸念し'ながらも博物館入口前で行いました。結果は企画展と、きのこそのものをアピールすることができました。もう一つの「博物館共催きのこ観察会」は長瀞町の宝登山周辺で実施しましたが、方法および内容的には「県民きのこ勉強会」に代わるもので、博物館で募集した参加者を対象に実施いたしました。ただ従来と違っているのは定員制をもうけ、50人にしたことだけでした。このような共催のあり方がどうであるか、当日参加された会員の皆さまや一般参加者の感想を聞かないことにはその善し悪しがわかりませんが、いずれにしても、もし、回をかさねることができれば、そのあり方の方向性はでることでしょう。
私にとっての '93年は、キノコにつきあうようになって1O年目、本格的に取り組み、取り組んだわけではありませんが、一応の締めくくりといえるような年で、勤務先、埼玉県立自然史博物館での企画展「キノコいろいろ(7/1〜11/28)」が実施できた年でした。併せて、県民向けの上記の「きのこ観察会」の実施や小冊子「キノコいろいろ」の発行などで、一時、きのこ一色で染まった時期もありました。専門外の素人が初めて企画したこれらのことにもかかわらず、おかげさまで、結果はまずまずの評価を受けたのではないかと自負しております。これらのことすべてが私個人、あるいは博物館だけの実績ではありません。私たちの研究会組織があったからこそ、できたといえます。博物館の最も基本的な実物資料(きのこ標本)は「研究会(同好会)」の発足以来の活動が「私」を通じて「博物館」に蓄積されてきました。その集約した結果が今回の企画展となったからです。今関先生も述べられておりますように、「研究会」や「同好会」の理想的なあり方は博物館などの公的施設との連携にあるといわれています。私たちの研究会がその考え方にそって活動してきたことやさらなる連携の模索は、おそらく全国に数ある「会」の模範的な存在になるのではないかと思っています。



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