キノコの魅力に惹かれて
小林敏昭(行田市)


a  ご縁があって97年秋に入会いたしました。きっかけは、同年の夏休みに熊谷図書館で開かれたキノコ展示会で、本会のことを知ったからです。

 実はわが家でも以前よりキノコの生態には大変興味を持っておりました。もう10年ほど前になりますが筑波に住んでいた頃、工業技術院敷地の林の中でキノコに詳しい方から実地で講義を受けながら採取したのがそもそもの始まりでした。以来、実にバラエティに富んだキノコたちの存在に俄然注目するようになりました。

 それまで全く気づかなかったのが不思議なくらいですが、身近なところに本当にいろいろなキノコがあるのを発見したのです。 駐車場の砂利の間から生えてきたアミガサタケ、芝生ににょっきり登場したササクレヒトヨタケ、植木鉢の中のチャダイゴケ、幼稚園の庭で見たカニノツメ、公園の切り株に成長したヒラタケ、エノキタケ等々枚挙にいとまがありません。息子は小学校への通学時にも必ずビニール袋を持って、めぼしいものがあると持ち帰ってきたりして、家族全員でキノコとの関わりを深めてきました。

 実際に試食してみたキノコも数十種類ありますが、「コレラタケかもしれないナラタケモドキ」とか「ドクヤマドリかもしれないヤマドリタケ」などにはトライしなかったのでさいわい辛い目にはあっていません。お腹を壊したことは何度かありますが、容疑者はツチスギタケ、コガネタケ、イグチの管孔といったところで、いずれも軽微なものでした。ただ、ツルタケの仲間を適当に判断して食べたりしていましたが、テングタケ科のキノコをきちんと同定せずに食していたのは今から思うと冷や汗ものです。

 98年5月の本会総会に出席した際に、会員諸氏のキノコの食毒談義を興味深く聞かせていただきましたが、「食・毒」には個人差が大きいことをあらためて認識いたしました。また、私などが日頃直接遭遇する機会の少ないキノコ、たとえばキヌガサタケやカンゾウタケなどを持ってきて見せてくれる方がおられることも、本会に加入した大きなメリットだと思います。

 キノコたちの容姿は千差万別、その上神出鬼没で本当に魅力に満ちあふれています。彼らを見ていると、その神秘さで日頃の会社生活の疲れや実社会の緊張感をひととき忘れることができます。今後、本会の観察会などを通して、さらにキノコの世界の理解を深め、かけがえのない自然を大切にしていきたいと思います。

 さて、わが家の庭には、3月の植菌講習会で仕込んだシイタケ、ヒラタケ、ナメコ、ヌメリスギタケモドキの植菌木が眠っています。 気まぐれ者のキノコ君たち、はたして何種類顔を見せてくるでしょうか。




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