キノコの成分(4)
塩津 晋(浦和市)


a  体のあらゆる組織や器官は、使用し刺激を受けなければ維持活性化されない。われわれ動物にとっての食物である植物体は勿論、菌類は特に毒とも薬とも見られる成分を必ずといってよいくらい含んでいる。それらの成分は栄養価値上では異物であっても、前章で述べたような機能性を持っているか、本章で述べる毒である場合もある。その両者の働きの間には、ごく一部のものを除き、明確な区別があるのではなく連続的なものである。つまり、成分の生理活性の強弱と含量の多寡によってそれは支配されている。そしてまた、遺伝的と食習慣、肝・腎の機能などの個人的な解毒能力の差による側面も無視しえないかもしれない。

 視点を換えて言えば、今日的な健康食品といってもそれぞれに食べる量的限界があり、そればかり大量に食べれば毒的側面が現れたり、普通は問題にならない共存する微量の毒成分も表面化してくる。例えば、肉食の多い現今特に健康食品の塊のようなシイタケでも、血中コレステロールを下げるエリタデニンでも、大量になった時、肝脂肪が増えるかもしれない。ツクリタケ(マシュルーム)にはアガリチンという弱い発癌性アミノ酸が含まれている。一方、致死性の猛毒キノコとされているシャグマアミガサタケはヨーロッパのレストランで使われている。これは肝臓毒であるジロミトリンが煮沸によって水に移行する制御可能の毒だからである。といっても、100%除かれているわけではない。また、典型的な毒キノコであるベニテングタケは1本以下ならば殺虫成分で酔って陽気になる程度かもしれない。また、ムスカリンを含むとして毒キノコに編入されたサクラタケの中毒例は知られていない。これらはまさに量的制御である。

 だからといって、命にかかわるか激しい苦痛が持続する10種に満たないキノコは絶対に避けなければならない。その為にはこれらの猛毒キノコから先に覚えるのが第一策であって、知識に応じて猛毒キノコ周辺の危険域の幅を減らして行くとよい。

 キノコによる痛ましい事故を防ぐことが、自然を楽しみキノコを愛する者の大きな使命である。 以下、毒キノコを三つの概念に分け、それぞれの各群ごとの毒キノコの特徴とその周辺を述べることとする。

1.猛毒キノコ

第1群 ドクツルタケ、シロタマゴテングタケ等のテングタケ属のかなりの種

(毒成分)肝細胞を破壊しつくすアマトキシン類(アマニチン・ファロイジン・ビロイシン等々)でこのコレラ様症状を起こす環状ペプチドは、上記以外のテングタケ属のタマゴタケモドキ、フクロツルタケ等に含まれている可能性があり、テングタケ属に限っては食べられる個々のキノコから確実に覚えるのがよい。なお、タマシロオニタケについてはプロパギルグリシンというアミノ酸による肝毒性と考えられている。
(症状)異常の発現がほかの中毒より遅れるのが特徴で、食後10〜20時間たって激しい腹痛・嘔吐・下痢に見舞われ、一たん平静になるかに見えるが、その間肝臓・腎臓の細胞破壊が進み、2〜7日後に終焉を迎えることが多い。
 治療対策として、食べたと分ったら一刻も早く吐きだすこと。神奈川きのこの会報によればドクツルタケを食べた筈が、食後短時間で胃腸障害系の毒キノコも一緒に食べたお蔭で吐いてしまいケロッとしていたという笑えぬ話もある。とにかく吐かせるのがベストであるが、毒を吸着させる為に炭の粉をあたえるのも良い対策である。勿論、緊急に設備のある大病院に入れ、水分の補給・消化管洗浄・利尿等の処置のうえ経過を見ながら血漿交換・人工透析等できうる限りの救命策を講ずる。
 日本で発生は知られてないが、ヨーロッパ各地で多くの死者をだしている毒フウセンタケ(Cortinarius orellanus ほか2種)というのがある。この第一毒成分のオレラニンは、農薬のパラコートと共通の構造をもつ低分子物質である。第二成分としてコルチナリンというアマトキシンと同じ環状ペプチドが検出されたとのことであるが、疑問も出ている。摂取後3〜20日たって、重症の急性腎炎を発症状する、極めて悪性の持続型中毒である。ポーランドの例では、136人の中毒患者のうち23人が死亡し、回復した20人に腎障害が残っていた。

第2群 コレラタケ(ドクアジロガサ)、ニセクロハツ

(毒成分)テングタケ属以外の致死性キノコで、コレラタケは第1群と同じアマトキシン類によるものと示唆されている。コレラ様の脱水症状を起こすので、警戒心喚起の為の名称である。コレラタケ以外のケコガサタケ属(Galerina) のいくつかのキノコもアマトキシン類が含まれているとのことで(例えばヒメアジロガサ)注意を要する。
 ニセクロハツは、中枢神経に作用する特殊なアミノ酸(カナバニン・バイキアイン類)が検出されている。オレラニン系との説もある。もしこれらが毒の本体であるとすれば、茹でこぼすことで毒性は大幅に減ずる筈である。
(症状)ニセクロハツは10〜30分後 嘔吐・下痢に始まり、言語障害・血尿などを経て心機能低下・昏睡に陥る。

第3群 ドクササコ(ヤブシメジ)

 (症状)このキノコによって直接死亡することはないが、1か月以上も続く激しい痛みはなんとも厳しく時には衰弱死や自死することさえあるという特別に注目するべきキノコである。なおこのキノコは名前の竹やぶだけでなく雑木林に生え、かつ、日本特産種である。主な症状は手足末端の発赤・腫脹・劇痛であるが、最近の症例では、中毒患者4例とも胃・十二指腸に消化性潰瘍を起こしていた。
 このキノコは、食べて4・5日後に発症するため永い間キノコによる中毒と気付かず、その状況から肢端紅紫症的な風土病と思われていた。しかもあまりの痛さに四六時中冷水に漬けるため皮膚がくずれ、昔の新潟の山間部では、かって業病とされていたライ病と間違えられた悲惨な例さえあったらしい。
(毒成分)分子内にグルタミン酸構造をもち、強力な神経興奮作用を示すアクロメリン酸が研究者の努力によって証明されつつある。

2.中毒事例の多いキノコ

 中毒件数が多くなるのは、1) 発生分布が高く、2) 大型であったり群生していたりして取りでがある。3)または、評判の食菌に似ているとか、4)初歩的なミスである地味な色合いのキノコなどの要件が考えられる。
第1群 胃腸症状型のクサウラベニタケ・ツキヨタケ・カキシメジ・ニガクリタケ等
 はじめの3種だけで我が国の中毒件数の3分の2を占める。
(毒成分)クサウラベニタケの腹痛・下痢は特定の蛋白質によるとのことであり、むかつき・嘔吐は神経毒のムスカリン等が関与しているらしい。
 ツキヨタケの毒成分イルディン類は50年も前にClitocybe illudensから分離された制癌抗生物質である。
 カキシメジの毒成分は不明とされているが、ニガクリタケと同系統のトリテルペンを含むとの記載もある。以上3種の毒キノコは、水晒し・塩蔵等の処理によって食用としている地方もあるという。これは長時間の水洗による毒物質の溶脱と経時的な失活と考えられる。
 ニガクリタケの毒成分はトリテルペンのファシキュロール類で、同系統のものがマンネンタケ(ガノデリン酸 降圧作用)アカヒダワカフサタケ(毒)等にも含まれ、これらのトリテルペンは細胞毒とされている。
 (症状)ニガクリタケは進行症状の発現が8〜10時間と遅く、コレラ様の下痢などで七転八倒の後、いったん小康状態に見えるが重篤な肝障害におちいる。毒成分とされているファシキュロールだけで、このようなアマトキシン様の毒性は信じ難い。いたいけな子供たちの死亡率が高く、1.に準ずる毒キノコと言える。

第2群 幻覚作用を起こすモエギタケ科シビレタケ属(Psilocybe) のキノコ
 (毒成分)幻覚を起こす成分はシロシビン・シロシン等で、麦角アルカロイドも同族体であり、禁止薬物のLSDと同じように視覚系などの中枢神経を混乱させる。
 シビレタケ属のヒカゲシビレタケ・オオシビレタケ・アイセンボンタケ・アイゾメシバフタケなど以外にもシロシビンや同族体を含むキノコは多い。同じモエギタケ科のモエギタケ属・オキナタケ科コガサタケ属のほかヒトヨタケ科ヒカゲタケ属のワライタケ・センボンサイギョウガサ、アセタケ属・ウラベニガサ属等々も知られている。また、コタマゴテングタケとコテングタケからは、あたるかどうかは別として、ガマ毒として有名なブフォテニンが含まれ、動物の神経伝達物質として欠かせないセロトニンと、シロシン以上に酷似する。英語で毒キノコのことをトウドストゥール(toad-stool)すなわちヒキガエルの腰掛けと称するのは言いえて妙である。
 シロシンは酸化されると青色の物質になるという。このこととシビレタケ属の青変性との関連が考えられる。
 (症状)食後10〜30分で目まいやしびれなどに始まり、意識もうろうとした状態でこの中毒の特徴である色彩的幻視・幻聴に襲われる。しかしアマニチン類やドクササコのようにあとをひくことなく一過性で数時間で回復する。
 メキシコ原住民の神事にこのキノコを利用したり、また、自主体験例の記事は多く、何か興味本位に受止められているふしがあるようなので、厳しさの認識を強調しなければならない。即ち、悪寒・息苦さ・吐き気などの通常の不快な気分のほか、診断上も瞳孔散大・呼吸と心拍の急迫・血圧・血糖の上昇等がある。そして何よりただならないのは試した人の状態は、上ずった目、異様な表情・動作、奇嬌な発声などで、当事者は勿論周囲の人にとって、救急車を呼ばずにはおれない修羅場とのことである。つまりシビレタケ・ワライタケは快感とか楽しいキノコではなく、健康人にとって苦しくつらいキノコである。

3.特異な毒性、制御しうる毒性、時・所・人による毒キノコ等

第1群 悪酔毒のキノコ、ヒトヨタケ
(毒成分)コプリン (coprine)というグルタミン酸に反応性に富んだ小さい分子のアミノシクロプロパノールが結合した物質で、後者が体内で分解して悪さをする。
(作用と考察)アルコールは血中にはいると、アセトアルデヒド・酢酸という順序で酸化され、最終的に水と炭酸ガスとなってカロリー源となる。酒に強い人は、毒性のあるアセトアルデヒドをどんどん酢酸にしてしまうが、飲めない人の顔が赤くなって苦しむのは複数あるアセトアルデヒド酸化酵素が遺伝的に少ないことによる。コプリン分解物はこの酵素に結合して不活性化すると推定されている。酒が飲めなくなる薬アンタビュースと同じ作用機序である。このキノコを食べて2〜3日後でも悪酔するという、かなり持続性の毒作用であるが、悪酔キノコとして有名なホテイシメジを私もよく賞味するし、富士山や八ヶ岳山麓のカラマツ林にこのキノコばかりを段ボール何箱にも職業的と思われる位取っている人を見かける。またフランスの高級キノコで近縁のササクレヒトヨタケはどうかという疑問もある。これらの答のひとつは、コプリンが水溶性である為、調理法によっては除かれ、また乾燥保存中に分解・揮散することが考えられる。そうであれば、容易に制御可能な毒キノコといえる。もうひとつの可能性は、強力なアセトアルデヒド酸化酵素を持っている酒好きな人にだけ発現するのではということで、私のような弱いタイプは不活化相手の酵素不在、つまり酒を飲まない時は基質不在の為何事もないというのと同じことなのかもしれない。(カラマツ林のはホテイシメジでなくホテイダマシとの説もある。)
 ヒトヨタケ以外で同様の悪酔中毒症状を示すキノコに、ホテイシメジのほかキシメジ・スギタケ・ウラベニイロガワリ等が知られている。生焼けシイタケでさえ酒に酔い易いと言われている。キノコの香り・臭いの成分に広い共通性があるよう、コプリンにしてもムスカリンにしても、分析されてないだけで微量であっても広く分布している可能性がある。1兆分の1グラムまで比較的容易に測れる装置のある現在でも、人命に関わることか産業上の必要がない限り、成分追究があまり進展しないものである。
第2群 蠅取りキノコのベニテングタケ
(毒成分と症状)毒キノコの代表のように思われているベニテングタケは、テングタケ属であっても、実はそれほど恐ろしいキノコではない。主な毒成分はイボテングタケに由来するイボテン酸で、グルタミン酸類似の構造をもつ。この物はグルタミン酸より一桁強い旨味を持つ特殊なアミノ酸であるが、不安定で容易に脱炭酸されて、より揮発性の殺蠅活性の本体であり、人をアルコール酔いに似た状態から、摂取量によっては、胃腸症状・そううつ・錯乱・時には幻覚の後、深い眠りに落ちる、中枢に作用するムシモールに変化する。同じ蠅取りキノコのハエトリシメジにはイボテン酸の還元体であるトリコロミン酸を含有し、やはりムシモール様物質を生ずる為か大量に食べると悪酔状態になる。
 竹本常松先生による、この二つのアミノ酸の発見よりずっと前の1869年にベニテングタケ(Amanita muscaria)から検出されたムスカリンは、汗・よだれ・涙を出させ下痢・視力障害・血圧降下等の神経伝達系を撹乱するアルカロイドである。しかし、ベニテングタケにはごく少量で、むしろアセタケ属の多くのキノコ・クヌギタケ属のサクラタケ・カヤタケ属のシロヒメカヤタケ等の方が含量が高いとのことである。アセタケ属以外、高い含量といっても、ムスカリンの水溶性からみて煮こぼしさえすれば、サクラタケは相変わらず食菌ある。
 日本で毒キノコの象徴のベニテングタケは、西欧では不死の霊草であり、童話世界の主役になっている。現実でも、かってバイキングは戦いの前に士気を高めるのに用い、ウオッカに漬けて酔いの効果を高める薬用酒とするそうである。国内でも地方によって乾燥や塩蔵して食べるとのことである。ヒトヨタケのコプリン、シャグマアミガサタケのジロミトリンと同じように、イボテン酸・ムシモールも水やアルコールに溶けると考えられるので、乾燥より塩蔵、それより、さっとでも煮こぼすことの方が遥かに賢明であろう。汁・天ぷらなど、そのまま食べるのは1本までにすること、と今関先生は言っておられた。
 テングタケ・ヒメベニテングタケも同様の成分をもつといわれている。


第3群 その他の毒キノコ:オオワライタケ、赤・黄のホウキタケ、DOPAを含有するキノコ、ドクヤマドリ、ウスタケ、ヒダハタケ
 オオワライタケ:このキノコ幻覚性は『今昔物語』にも出てくるくらい古来から知られている。強い苦味物質ジムノピリンが数年前になって中枢神経に作用することが証明された。よく煮こぼすか、オリーブ油漬にして食べる国があるという。前者はあく(灰汁)かアルカリを加えるとジムノビリンが分解して一層効果的と考えられ、油は苦味を溶かし出す知恵と思われる。
 赤・黄のホウキタケ:具体的には、ハナホウキタケ・コカボネホウキタケ・キホウキタケが中毒すると言うが、地域差によるものか、前処理の仕方によるのか食用とするケースも多い。分類の紛らわしさと共に今後の究明とご教示をお願いしたい。
 私事にわたるが、30年間、2〜300種のキノコ遍歴中、何回目かのケースで中毒した唯一のキノコが、このホウキタケであった。
 DOPAを含有するキノコ:DOPAとはディヒドロキシフェニルアラニンの一般的略称で、イボテン酸やコプリンと同じ特殊なアミノ酸である。空気に触れると黒くなる特性をもっている。これまでに、アカヤマタケ・オニイグチ・ツクリタケ・ムツノウラベニタケにDOPAの存在が確認されている。この分布からみて、クロハツ・カクミノシメジは勿論、傷つけば褐色になるキノコを含め、DOPAはキノコに普遍的な成分かもしれない。ただし、いずれも含量の関係からか毒キノコとは言えない。
 DOPAはそのまま、パーキンソン病(ふるえ等をおこす脳変性疾患)の対症薬として用いるが、イボテン酸からムシモールにかわるように、酸の部分がとれたドーパミン・同類のアドレナリン等はカテコールアミンと総称され、脳をはじめとして全臓器を支配する、主要な神経伝達物質である。
 ドクヤマドリタケ:イグチ型のキノコに毒キノコはないと言われてきたが、情報化に伴って信州を中心に中毒例が散見されるようになった。実は、長野県の山地ではタヘイイグチと呼ばれて昔から知られていた。
 1〜5時間後に嘔吐・下痢・発熱し、比較的多く食べた人は(スライス10切以上)腎障害を呈した。ツキヨタケより強い毒性といわれるが、ツキヨタケのイルディンと違って煮こぼすことによって、毒性が著減するとのことで、腎毒性との情報と相俟って、毒本体は、水溶性低分子のものと推測される。
 このヤマドリタケ属のキノコには、日本特産らしく、まだ分類上の地位が決まってない。欧米ではBoletus satanus ほか数種の胃腸毒の同属キノコがしられている。このサタンのイグチは蛋白毒をもっているが、生食しない限り調理によって、食べられるようであるので、日本の毒キノコの概念にあてはまらない。キノコの生食は、ごく一部のものを除いて論外である。
 なお、サタンのイグチの青変性のもとは、DOPAの部分構造にあるカテコール部分二つをもつルリジン酸である。イグチ類によく見られる青変性は、ルリジン酸か近縁物質によるものであろう。
 肝腎のヤマドリタケモドキとの見分け方は、食の方は肉質が白く変色しないのに対し、毒の方は黄色で、弱く青変する点がポイントである。
 ウスタケ:ノルカペラチン酸という、両極端的性状のクエン酸と石油がくっついた洗剤のような毒成分である。フジウスタケもおそらく同じ胃腸系の毒で、民間薬として伝えられている多孔菌科のエブリコにも殆ど同じアガリシン酸が含まれている。
 両ウスタケとも煮こぼせば食べられるとあるが、うすいアルカリでも加えない限り、毒の溶け出しは疑問である。
 ヒダハタケ:毒キノコの本には、毒成分インボルチンと誤解されやすい表現になっている。このインボルチンは、青変性のルリジン酸と似た構造の、傷つけると黄色系から黒褐色へ変わるもとでしかない。
 毒本体は不明であるが、その中毒の様子からみて、水溶性のものか抗原性のものと思われる。
 日本での中毒は伝えられていないが、ヨーロッパでは生食にちかい食習慣の為か死亡例もでており、ポーランドではキノコ中毒のご三家にはいっているという。十分に加熱調理すると、食用になるといわれているが、毒本体の生理作用が明らかになるまで避けたほうがよい。腎毒性や溶血性など持続性・蓄積性をうかがわせる毒性があるからである。およそ、避けるべきは、アマトキシン類を含むものは当然として、肝・腎を侵すケースの多い遷延性・蓄積性の毒である。この観点で見る限り、制御可能な毒キノコとしてあえて猛毒キノコに入れなかったシャグマアミガサタケの、胃腸症状から血尿、肝・腎の破壊へと進むジロミトリン自体は性悪な毒物である。

主な引用文献:紺野 勝弘,橋本 貴美子,白濱 晴久,早野 清治;『キノコの化学・生化学』水野 卓,川合 正允 編著、学会出版センター p.93−113




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