■ 美の山野外観察会 |
開催日:2003年7月13日(日) |
集合場所:美の山公園(秩父郡皆野町)頂上直下の駐車場 参加者:31名 天候:曇り 世話人:坂本晴雄、大舘一夫、富田稔、籾山清 |
a | ここ何年も空梅雨ばかりだったが、今年はほんとうによく降る。「これだけ降ればきのこもたくさん出ているだろう」と期待して参加した美の山だったが・・・。 朝6時、矢作さんの車で我が家を出発。寄り道しながら秩父方面へと向かった。天気予報が雨だと言ってくれていたおかげで渋滞もなく、集合時刻よりだいぶ早く着いてしまった。 山へ入って時間つぶし。とりあえず、去年ミヤマベニイグチが出ていた辺りへ入ってみたが、きのこの影は極めて薄い。夏の美の山名物ともいうべきテングタケやイグチの類がほとんど見られず、わずかにオチバタケやアセタケの類が散見される程度。15分ほど歩いてイグチは1本も見あたらず、テングタケではコテングタケモドキが1本あるばかりであった。 「こりゃ不作っぽいなぁ。どうなっちゃってるんだろう?」 「気温が低いせいじゃないかなぁ。例年の美の山の観察会はもっと蒸し暑いもんなぁ」 なんてことを道端でぼやいていると、見覚えのあるレガシーが停まり、当日の世話人である坂本さんが車から顔を出した。 「きょうの例会報告、高橋さんが書いてね」と坂本氏。 「了解。だけど、きのこ出てないよ」 「そうなの? 期待してたんだけどなぁ。ヒイロウラベニイロガワリが出てるといいんだけどなぁ」 ヒイロウラベニイロガワリは傘の赤い中型のイグチで、美の山と高尾山以外では神戸での発生確認(兵庫きのこ研究会)があるだけという希少種だ。絵になるきれいなきのこでもあるので、それを1本見つければ言うことはないのだが、この日は難しそうに思えた。 山頂直下の集合場所には30人ほどが集まっていた。説明の後、散り散りに山へ入っていく。私たちも遊歩道沿いを歩きながら、ここはと思う木立に分け入った。が、ほんとうにきのこが少ない。例年なら少なからず見られるニガイグチモドキやタマゴタケすら見あたらない。途中ですれ違うきのこ仲間の顔も元気がない。 「なんだか年々きのこが少なくなるみたい。入会したばかりの頃はタマゴタケがいっぱいあったんだけどなぁ」と茂木さん。 「今年の美の山の観察会は例年より1週間早いんですよ。来週あたりはもっと出てるのかもしれませんね」と佐藤さん。 満開の紫陽花を横目に、しょんぼりと集合場所へ戻ったのでありました。 それでも60個もの目ン玉で探すといろいろ出てくるもので、鑑定会には下記80種が並んだ。残念ながらヒイロウラベニイロガワリはなかったようである。 (報告:高橋 博) [確認種] 子嚢菌類 ズキンタケ科 ゴムタケ チャワンタケ科 クリイロチャワンタケ、チャワンタケ属1 ノボリリュウタケ科 クロアシボソノボリリュウタケ、ヤマネノボリリュウタケ Click ! バッカクキン科 オサムシタケ ベニチャワンタケ科 ヨソオイチャワンタケ 担子菌類 イグチ科 アワタケ、クロアザアワタケ、イグチ属1、ニセアシベニイグチ、キヒダタケ、クリイロイグチ、クリイロイグチ属1、アケボノアワタケ、ウラグロニガイグチ、ヌメリニガイグチ、ブドウニガイグチ イッポンシメジ科 イッポンシメジ属1、キイボカサタケ、クサウラベニタケ、ミイノモミウラモドキ、コキイロウラベニタケ Click ! ウラベニガサ科 ヒイロベニヒダタケ キシメジ科 カレバキツネタケ、サクラタケ、スミゾメシメジ、ダイダイガサ、ツエタケ、ヒロヒダタケ、ビロウドツエタケ、オオホウライタケ、シロシバフタケ(青木仮称)、ハナオチバタケ、アカチャカレバタケ、モリノカレバタケ、モリノカレバタケ属1 テングタケ科 アオミドリタマゴテングタケ、アケボノドクツルタケ(青木仮称)、ガンタケ、タマゴタケ、タマゴテングタケモドキ、ツルタケダマシ、テングタケ、テングタケ属1、ニオイドクツルタケ(青木仮称) ハラタケ科 ザラエノハラタケ、ハラタケモドキ、ハラタケ属、 ヒトヨタケ科 ムササビタケ ヒラタケ科 ウスヒラタケ フウセンタケ科 コバヤシアセタケ、シロニセトマヤタケ、キショウゲンジ ベニタケ科 キチチタケ、クロチチダマシ、チチタケ属1、チチタケ属2、ニオイワチチタケ、ヒロハウスズミチチタケ、アカカバイロタケ、オキナクサハツ、クロハツ、ケショウハツ、チシオハツ アンズタケ科 アンズタケ イボタケ科 ケロウジ ウロコタケ科 キウロコタケ タコウキン科(広義) オオオシロイタケ、キアシグロタケ、ヒイロタケ、カワラタケ、ヒトクチタケ、ホウロクタケ タバコウロコタケ科 ネンドタケ ホウキタケ科 ヒメホウキタケ 腹菌類 アカカゴタケ科 サンコタケ スッポンタケ科 コイヌノエフデ Click ! 異型担子菌類 キクラゲ科 アラゲキクラゲ シロキクラゲ科 ハナビラニカワタケ 鑑定は大館さんと柴田さんにお願いし、以上80種が同定されました。 分類は新日本菌類図鑑を基本としました。(確認種のデータ作成:坂本晴雄) |