プロジェクターによる発表会
             
開催日時:2010年12月5日(日)

集合場所:川越西文化会館

参加者:30

世話人:
大久保 彦、富田 稔佐藤 俊朗

報告:
佐藤 俊朗

写真撮影
河野茂樹
            
           会長 挨拶                     副会長 挨拶                
            担当者 挨拶                            会場風景      
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今年から会場が変更、文字どおり川越の西部にある「川越西文化会館」で交通の便も良く多くの参加者があった。開会に先立って大久保さんと大館さんから簡単なお話があった。

 発表者は8名、ここ数年本会で発表された方々が多く、同じテーマでの継続研究の実績を披露されていた。

 発表者の数、内容ともに充実したもので大変参考になった。昨年と同じ方が関連した内容で発表たされ学究的(科学者的)、また身近な課題を取り上げて発表された庶民的(菌類愛好者的)なものなど多彩であった。後者がやや少ないようであったが、これは民間研究団体が発展するために不可欠の両輪と考えられる。来年は多くの方々の遠慮のない発表を期待して報告に代えたい。

テーマ

@ 2010年の気象ときのこ -------------------- 富田 稔

  
       富田氏発表

「きのこの発生は気象と関係があるのか」という素朴な質問にはなかなか応えにくい。この課題に向かって数年、富田さんが本会において継続発表されているものである。佐野市の近く馬不入山に足繁く入って観察・同定されている。一方、佐野市周辺の降水量・日照時間・有効積算温度・平均気温を6月から10月にかけて調査している。この2つの資料を勘案して一つの結論づけを試みたものである。今年は異常気象だといわれただけあって、多くの話題が提供された。5枚の資料が用意されていたが機会があれば詳細を知らせていただきたいものである。


A 今年であったキノコたち-------------------- 大館 一夫


       大館氏発表

今年はきのこにとっても異常気象だったという前提にたって、顕鏡図を添えた46種の解説をされた。都会はもちろん各地で観察された珍しいきのこを主に、新しい観点から解説されていた。オオニガシメジとハダイロニガシメジ、キアミアシヤマドリとヨゴレキアミアシイグチなど類似種の見分け方など丁寧に示されていた。その他、秘伝とも言うべきか、似かよったきのこの決定的見分け方を披露されて判りやすかった。
 
コウモリタケは菌根菌か、暑さに強いきのこと弱いきのこの存在など興味深い話題も提供された

B 今年であった “きのこ”-------------------- 河野 茂樹


     河野氏発表

「手を出す前に写真を」と菌類とその発生環境とを大切にした写真を提供された。県内を中心に富士山や新潟などで撮影された撮影のポイントに触れながらの芸術写真であった。とくに背景とりの扱い方に配慮され、撮影されるときの注意点、デジカメでの修正の仕方などに言及された。光を当てて雰囲気を出したり、ぼやかして幻想的に表現するなど「あなたも、きのこ写真で遊んでみませんか」という言葉に誘われた。

C キノコの培養について-------------------- 福島 隆一

はじめに会長からの、発表された方々へのお礼の言葉と、「皆さんが軽い気持ちで写真を持ち寄り勉強しあう機会になって欲しい」というご挨拶があった。
 続いて氏の持論である「これまでのキノコの同定方法に見落とされているものがあるのではなかろうか。」という問題提起がなされた。菌類の培養と発生・土壌(食べ物)あるいは生態から広く観察することによって、究極的に重要な結果が導かれるケースが在りうるということである。
 いろいろな具体例をもとに例証されたが、「キノコが食べている食べ物」についても更なる関心を持つようにしたいと思った。

D  埼玉県菌類絶滅危惧種20種とその他のキノコ-------- 大久保 彦


      大久保氏発表

 数
年続けて発表されている「埼玉県菌類絶滅危惧種」についてである。今年は22種ほど、発生地や環境・時期なども示され、身近なところに危惧種が観察できることがわかった。危惧種指定の経過・必要性、あるいは指定の手続・管理などについて一定の理解を深めたいという場面も見られた。今後、発展される領域だと思うので一般動植物と同じようなレベルになることが期待される。

E 生物多様性ホットスポットの真昼岳のブナ林の菌類-------- 神 ナロウド


    神 ナロウド氏発表

埼玉と青森にお住まいで、毎年いろいろな観点から自然観察をなさっている。椿 啓介氏の言葉「観察とは、ただ発見するだけではなく、それを取り巻く環境も一緒に考えることである」を冒頭に引用し、7つの観察例を示された。菌類に関わる「生食連鎖・腐食連鎖などについて写真を添えた4枚のプリントが提供された。
 力不足の私には理解困難な部分が少なくなかった。

F 今年の観察種から-------------------- 西田 誠之


     西田氏発表

 広範囲の地域で観察された、マイタケ・イグチ・ムラサキシメジの仲間を中心に、ものがたり風に解説された。サザナミイグチ・アカハナビラタケ・クロサルノコシカケ、あるいは「赤みが気になるイグチ」などの解説に多くの関心がもたれた。いずれも内外の文献・図鑑を精査され、学名を明記、研究の深さを知り今後の指針となったようである。最後に4種の不明種が提示されたが、誰か解明を志したらいかがなものだろうか。

G 小川と赤根峠のキノコ-------------------------------- 藤野 英雄

 飯能の赤根峠や信州の嬬恋村など身近なところで観察された多数の新種が紹介された。たとえば発生は稀といわれる2珍種、オニテングタケ・コシロオニタケについて・・・。
 ひだはクリーム白色・密;白色・疎、 肉は硬く白色;白色、胞子は球形;長楕円形、一般に前者のほうが大型・・・
 話が更に発展し、柄が極端に細い類似のシミイッポンシメジが紹介された。食毒について「イッポンシメジ亜属のきのこは、ウラベニホテイシメジを除いては苦味のあるきのこは皆無であろう」という説もあった。

  以上



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