きのこ発表・勉強会
             

開催日時:2012年12月9日 (日)

集合場所:国立女性教育会館(ヌエック)研修室

参加者:会員17名 

世話人:
大久保 彦、大館 一夫、富田 稔

報 告:
富田 稔

写真撮影
河野茂樹

                                                 会長挨拶


          説明                           会場風景          
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発表テーマ

1 「2012年に観察した埼玉県指定絶滅危惧種等」………………大久保 彦

2 「今年気になったキノコたち」……………………………………大舘 一夫

3 「日和田山のキノコ」………………………………………………緑川 孝雄

4 「今年撮影したきのこ」……………………………………………河野 茂樹

5 「菌類生態を通してみる森の生物生態系の変動について」……神 ナロウド

6 「2012年の気象とキノコの発生状況」……………………………富田 稔


@2012年に観察した埼玉県指定絶滅危惧種等………………大久保 彦

 埼玉県で絶滅危惧種あるいは準絶滅危惧種に指定されている14種のキノコについて発表した。これらに指定されているキノコでも探すとあちらこちらに見つかる場合もあるので皆さんも探してくださいという呼びかけがあった。レジメにも埼玉県内で探してほしいキノコとして8種類が挙げられていた。

A今年気になったキノコたち……………………………………大舘 一夫

 40種のキノコについて生態写真または標本写真と検鏡写真を揃えて、特徴について発表した。検鏡写真ではコウボウフデの子嚢やベニチャワンタケの胞子が発芽して分生子を生じている状態など貴重な画像があった。
 また、肉眼で見える範囲でも細部を見ると、ベニタケ科のキカラハツモドキの傘の断面に環紋に対応する縞模様が見られることやテングタケ科のキノコで子ひだの形状、つぼが一重か二重か、つぼの色など今まで見過ごされてきた特徴があることが述べられ、大いに参考になった。

B日和田山のキノコ………………………………………………緑川 孝雄

 残念なことに、画像を収めたDVDがパソコンで開けず、プリントを見ながらの発表になった。 今年は10月から撮影を始めたので今回は発表した種類は少ないが、日和田山にはいろいろな形態の林があってキノコの種類が見られるので、来年はもっと早い時期から撮影始めたいと抱負を語った。

C今年撮影したきのこ……………………………………………河野 茂樹

 今年撮影したキノコとしてアミガサタケ、樹上に発生したホコリタケ、ナナカマドから発生したカバノアナタケなどを紹介したあと、より良い画像を得るためのテクニックとして絞り(f値)の効果、ホワイトバランスによる色の違いと調整の仕方などを発表した。
 また、“マクロレンズを買いました”ではイボテングタケの傘の上のいぼをアップした画像やヤマドリタケモドキの網目をアップした画像、“ちょっとお気に入り”では逆光をうまく使ったフチドリツエタケの画像などで参加者を楽しませてくれた。

D菌類生態を通してみる森の生物生態系の変動について……神 ナロウド

 ツキヨタケを例に森林生態系の変動について発表した。最近、ツキヨタケを食べる動物の種類が増えていることが報告されている。これらが食べることによってツキヨタケの繁殖に対して抑制的に働くのか、逆に胞子の散布者になって繁殖に寄与するのか。同じ環境に発生する菌類ではこれまではムキタケが知られていたが、クチキトサカタケやウスヒラタケなどが見られるようになり、これらはツキヨタケの繁殖に抑制的に働いていることが観察されている。今後の研究が必要である。

E2012年の気象とキノコの発生状況……………………………富田 稔

 今年で3年目となる栃木県岩舟町の定点観測地点のキノコの発生状況を発表した。今年の天候の顕著な特徴は8月の少雨と9月の高温である。また、6、7月の月平均気温がこの3年間で最も低かった。
 キノコの発生量は観察期間全体(6月下旬から11月中旬まで)を通して少なく、観察地全体で見られるような種はなかった。2010年、2011年に大量にみられたボタンイボタケとツチグリもあまり見られなかった。発生のピークは106日で26種類(目立った種類は6種類)で、このうち10種類がテングタケ科のキノコで、通常秋に多く見られるクサウラベニタケがそれ以降の観察でもほとんど見られなかった。このような状況の中で過去2年間は1回の観察で2、3本しか見られなかったヤマドリタケモドキが同じ場所から7月と10月に2回数本づつ発生していた。



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