■[30周年記念行事] キノコ入門講座と光るキノコの観察

開催日: 2013年6月15日(土)
開催場所: 上尾市コミュニティーセンター
       2階視聴覚室
参加者: 24名、(会員23名,会員外1名)
担当: 福島隆一 大舘 一夫 上原 貞美
    事務局(籾山清、富田稔、宮井正彦)
報告: 宮井 正彦
写真撮影: 河野 茂樹
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埼玉きのこ研究会は1985年誕生し、30周年を今年迎えることができた。諸先輩、関係各位のご支援の賜であり、厚く御礼申し上げたい。今後とも一層のご支援・ご協力を切にお願い申し上げる次第である。 さて、その記念事業として、今回の「キノコ入門講座と光るキノコ観察」を皮切りに、7月の「野外観察会:埼玉県立小川元気プラザ」、来年1月の「究極のきのこ料理教室」、1~2月の「キノコ顕微鏡・培養講座」、3月の「植菌勉強会」等、盛り沢山の30周年記念事業を予定している。企画によっては、未定のものもあるので、本会のホームページをご覧戴きたい。多数の皆様のご参加を願って止まない。

□「キノコ入門講座T:キノコを知ってキノコを楽しむ」 (13:30―15:15)
                   講師:当会副会長 大舘 一夫 氏


講演内容の構成はハード・ソフト・実践面に亘るキノコ・ワールドであった。
1・キノコとは:花・菌糸・分解・第三の生物 (ハード:キノコの学術的概要)
 ?「キノコ」と「きのこ」の使分け   
 ? キノコの分解者としての生活様式と生物における「菌界」の位置づけ
2・キノコを楽しむ  (ソフト:人ときのこの関係)
 ? 人とキノコの関わり 好きと嫌い 付き合い方
 ? キノコの楽しみ方 探す 調べる 描く 集める 育てる 食べる
 ? キノコのリスクについて 直接・間接・人生 
3・キノコ観察 (キノコ観察実践篇)
キノコ観察実践については7月13日の「30周年記念行事:野外観察小川元気プラザ観察会(ミニ講座予定)」をお楽しみ戴きたい。
キノコの世界は実に不思議である。不思議が不思議を呼び、さらに不思議が増える。科学は「どうして?どうして?」が原点であり、不思議に思うこの「種(たね)」を好奇心をもって解明・解決するのが科学である。その結果、さらに「新たな不思議の種」を発見することでもある。かの物理学者:寺田寅彦の「疑うがゆえに知り、知るがゆえに疑う。(疑うからこそ知り、知るからこそ、また疑う。)」という名言がある。
「不思議なきのこワールド」をたった2時間足らずで、講演するのは至難の技。それを見事にこなされた。「キノコの知識と魅力と不思議ワールド」に視聴者を導いた。が、反面、講演者はキノコのリスクを「きのこの直接毒のワールド」から、さらにエスカレートさせ、「人生におけるキノコ中毒ワールド(人生迷路)」にまで導いた懸念もある。果たして結果は…。後は聴いた者の自己責任である。
本日の講演内容をより深くするには、講演者の著書「都会のキノコ」(著者:大舘 一夫 八坂書房)を一読されることをお薦めする。キノコ・ワールドへの迷子にはくれぐれもご注意を…。
尚、会報(30周年記念特別27号には、本日講演されたプレゼンテーションの原稿も記載される予定である。欠席された方はお楽しみにお待ちいただきたい。


□「光るキノコについて」             (15:30−16:30)
                   講師:当会会長 福島 隆一 氏


残念なことに、一部の「光るキノコ」の映像リンクが出来ないことがあったが、その分、初代会長卜沢氏の回顧、1985年当会発足の歴史や、カバノアナタケの菌核・子実体培養、ハナビラタケ培養苦労等、話の広がりによる過去を辿る話を窺い知ることが出来た。
本題の光るキノコについては、一部の映像と共に、以下の話題が提供された。
? キノコは何故光るか?  諸説あるも今もって解明されてはいない。
? 発光時間と強度。 発光時間:1日〜数ケ月迄  光量:ヤコウタケ>シイノトモシビタケ>…>ツキヨタケ  時間、強度の意義は定かで無い。
? 光るキノコは何種類あるか?
 通常、人間の可視光量範囲では世界で72種、日本では10種類以上が確認されているが、光子の有無で見れば、かなりのキノコが光ることになろう。
? キノコの光は黄緑色 発光98%>発熱2% 効率の良い発光。何故か?
? キノコの発光物質   謎多い。蛍の蛍光と同じルシフェラーゼの関与も示唆(シイノトモシビタケ)される。
? キノコの発光部位は…。 ヒダの最外層部位であることまで確認された。
キノコが光る意味・意義の殆どが謎の世界。科学はこの謎の壁を如何に越えるのだろうか? 
色々な眼鏡をかけると世界が全く違って見えるように、科学はそんな眼鏡のような素敵な道具なのだという言葉もある。「科学で大切なことは、疑問を持ち続けることであり、不思議を殺すのではなく、不思議を生み出すものである。」これもかの有名な名言である。

いみじくも、大舘、福島両氏より、中身の濃い含蓄ある講演を戴き、一同、改めて両講師に厚く御礼と感謝を申し上げる次第である。
                                 以上



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