■美の山地区周辺観察会

  開催日:2013年10月14日(月)

  集合場所:県立秩父美の山公園山頂直下の駐車場

  観察地区:県立秩父美の山公園一帯

  参加者:36名

  世話人:大舘一夫、宮井正彦、栗原晴夫

  鑑定人:福島隆一、大館一夫、西田誠之

  報告:栗原晴夫
                                      
          事前説明     撮影  河野茂樹
    
     同定    撮影    河野茂樹              鑑定     撮影    河野茂樹

    
     鑑定風景    撮影   河野茂樹            鑑定会     撮影    河野茂樹          



 

美の山の観察会は定点観察会として毎年7月に実施されていたが今年は会の30周年事業との兼合いで小川町の観察会と入れ替わり10月に変更になった。秋の美の山は会としては初めてで、季節を変え、いつもと違うキノコと出会えるだろうと思うと、どこか期待感からか“わくわく”するものがある。ただここしばらくまとまった雨もなく集合場所である山頂下の駐車場へ向かう途中、道端の林内を車から降りて覗いてみたが山は乾いていて、干からびたキノコの姿が散見される程度で期待は少し萎んでしまった。集合場所には参加者が続々と集まり正会員33名、一日会員3名の計36名となった。一日会員には世話人の宮井氏から山の地図や保険加入のパンフレットなどが渡され注意事項や案内がなされた。観察会は大舘世話人代表、福島会長の挨拶があり始められた。この観察会では地元会員の山口さんがいつも直近の状況を知らせてくれている。「いま山の下のほうではウラベニホテイシメジが盛りだ」という報告であった。確かに来る時、中腹より下のほうでキノコ狩りと思われる車を三台ほど見かけた。

観察はグループあるいは単独でそれぞれと散り、軽い足取りでスタートした。私は野沢、清水両会員と、地面も乾いていそうだし、他の人も皆行かないだろう北側斜面を少し下り、見てみようということにした。歩き始めてすぐ形の良いウラベニホテイシメジがあり、採ってみると柄の部分が乾いてスカスカしていた。続いて地中に深く柄を伸ばしたアシナガヌメリやフウセンタケモドキ、蓑神社付近まで下るとモミの木の周りではアカモミタケなど7月の観察会では見られない種が多く見られた。しかし乾燥している故かキノコの姿は少なかった。そうはいっても鑑定会場には多くの参加者の足と目で採取されてきたキノコがにぎやかに並べられた。皆食菌だけが目当てではないのだがムレオオフウセンタケなどが出されると“おおぅ、やったね”という声も上がり鑑定会も盛り上がり楽しくなる。

鑑定は福島、大舘、西田の三氏によっておこなわれた。それぞれ個々のキノコについて細かい講評や謂れを解説していただいたが記憶も記録も至らずでご容赦いただきたい。

福島氏:同定には菌根菌なのか腐生菌なのかをみて傍にどんな木があるのか、そして嗅いで見て、噛んでみて、見るのも外観だけでなくヒダの色(胞子の色)なにより成菌だけでなく幼菌からバクされた老菌まで様々な姿を見ておくことが大切である。アイコウヤクタケは濡れていれば紫色でもっときれいだ。ダイダイタケはシイタケのほだ木に出たりしてシイタケを食べるわけではないが害菌と言われたりしている。ヒイロタケは同属のシュタケに似るが日の当たるところにでて孔口がより細かい。

西田氏:ミヤマタマゴタケは以前オオツルタケダマシ(青木氏仮称)と言われていた。今回白いタイプもあった。これはツボが二重になるものがありタマゴタケにもみられる。カラカサタケはニギリタケとも言われ傘の部分を握ってもまた元に戻る。キヒダフウセンタケ、フウセンタケ科でヒダが黄色いのは珍しい。オオニガシメジ、青木氏仮称(ハダイロニガシメジ)図鑑にないが形の良い綺麗なキノコである。

 大舘氏:フウセンタケ科のキノコの見分け方については、柄のところに蜘蛛の巣状のツバがあるか、滑りが有るか無いか、滑りは傘と柄なのか傘だけか、柄は棍棒状か蕪状(ソロバン玉)などをみる。マンジュウガサとニセマンジュウガサのちがいについて説明。フウセンタケの謂れは気球に見立てた命名で、幼菌から成菌になる時の姿を、傘が気体の入る風船部分、柄の下部が人の乗る籠の部分、それらを繋いでいる糸(蜘蛛の巣状の膜)が風船と籠を繋ぐロープというわけで、先人は実にいい名前をつけたと思う。

 今回の観察会では97種が同定がされました。



 確 認 種

(ハラタケ類)


シメジ科 :ハタケシメジ、ヒメムラサキシメジ

キシメジ科 :ハイイロシメジ、アオイヌシメジ、サマツモドキ、アイシメジ、アシボソシロシメジ
ヒョウモンクロシメジ、オオニガシメジ


ハイイロシメジ  撮影  河野茂樹   オオニガシメジ  撮影  河野茂樹

テングタケ科 :タマゴタケ、セイヨウタマゴタケ、ミヤマタマゴタケ、ミヤマタマゴタケ(アルビノ)
3アケボノドクツルタケ、コテングタケモドキ、シロウロコツルタケ、シロテングタケ、ガンタケ
シロオニタケ
アケボノドクツルタケ 撮影 河野茂樹

ウラベニガサ科 :ウラベニガサ、ベニヒダタケ


ベニヒダタケ  撮影  栗原晴夫

ハラタケ科 :カラカサタケ、シロオオハラタケ、ハラタケモドキ、クリイロカラカサタケ

        
カラカサタケ 撮影 河野茂樹          蓑神社   撮影   栗原晴夫

ナヨタケ科 :ミヤマザラミノヒトヨタケ、イタチタケ、ムジナタケ

モエギタケ科 :ツチナメコ、クリタケ

アセタケ科 :コバヤシアセタケ、クリゲノチャヒラタケ

ヒメノガステル科アシナガヌメリ


アシナガヌメリ  撮影  栗原晴夫

フウセンタケ科:マンジュウガサ、キヒダフウセンタケ、フウセンタケモドキ、ムレオオフウセンタケ
フジイロタケ、マルミノフウセンタケ、イロガワリフウセンタケ、サザナミツバフウセンタケ


フウセンタケモドキ 撮影 栗原晴夫ムレオオフウセンタケ 撮影 河野茂樹 フジイロタケ 撮影 河野茂樹

イッポンシメジ科:キイボガサタケ、ウラベニホテイシメジ、クサウラベニタケ


ウラベニホテイシメジ  撮影  河野茂樹

イチョウタケ科サケバタケ

ヌメリイグチ科:アミタケ

イグチ科 :コガネヤマドリ、ヌメリニガイグチ、ウラグロニガイグチ、コビチャニガイグチ、
オリーブニガイグチ、ホオベニシロアシイグチ、アカヤマドリ、スミゾメヤマイグチ、オニイグチ

ベニタケ科:アイバシロハツ、クサハツ、ドクベニダマシ、ニオイベニハツ、キカラハツタケ
アイバカラハツモドキ、トビチャチチタケ、アカモミタケ

(ヒダナシタケ類)

マツカサタケ科 :フサヒメホウキタケ:

カノシタ科 シロカノシタ

マツバハリタケ科 ケロウジ

マクカワタケ科 アイコウヤクタケ


 アイコウヤクタケ 撮影 河野茂樹

キウロコタケ科 チャウロコタケ、キウロコタケ

タマチョレイタケ科 スジウチワタケモドキ、ヒイロタケ、カワラタケ、チャカイガラタケ、ベッコウタケ
ホウネンタケ  ミダレアミタケ(科未確定)  ブドウタケ(科未確定)

ツガサルノコシカケ科 エビウロコタケ、オオオシロイタケ、アオゾメタケ、ホウロクタケ、ツガサルノコシカケ

キカイガラタケタケ科 キチリメンタケ

タバコウロコタケ科 コガネウスバタケ、ネンドタケ、ネンドタケモドキ、ダイダイタケ

(腹菌類)

ヒメツチグリ科 :シロツチガキ

ハラタケ科 :ホコリタケ、シバフダンゴタケ

(キクラゲ類)

シロキクラゲ科 :ハナビラニカワタケ、

ロウタケ科 ロウタケ

(子嚢菌類)

キンカクキン科 :ドングリキンカクキン

ノボリリュウタケ科 :ナガエノチャワンタケ

ヘタタケ科 :クロコバンタケ

ベニアワツブタケ科 :アカツブタケ

クロサイワイタケ科 クロコブタケ

             以上97種 



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