ホームページ「きのこ屋」
高橋 博(川口市)


a  96年の11月頃からキノコのホームページを開設しています。開設の経緯は省略するとして、当時は手持ちの写真が少なかったので、主に池田和加男氏からの借り写真を使わせていただきました。最初は『きのこ倶楽部』というタイトルでしたが、栽培キノコを売っている人がすでに同名のホームページを開設していまして、クレームが付いたので、こんどは『季節外れのきのこ倶楽部・冬季限定』という長ったらしいタイトルに変更しました。「どうせ飽きるだろうから冬の間だけでいいや」という気分でした。
 ところがどっこい、けっこう飽きないんですね。でも、冬季限定と銘打ったからにはここらで畳まないとかっこうがつかんと考え、3月一杯で廃止する「お知らせ」をホームページに載せたら、もっと続けてくれというメールが何通か届いたのです。たとえ数人でも愛読者がいるというのはうれしいもので、調子に乗って続けることにしましたが、タイトルがそのまじゃ具合が悪いので、こんどは『きのこ屋』(http://www.cx.sakura.ne.jp/~kinoko/)としました。山好きを山屋というのにならったタイトルでしたが、「街道筋のきのこ屋と間違われるよ」といった忠告もいただきました。まっ、そういうことはなかったですが、福島県田島町の民宿に「きのこ屋」というのがありまして、それがインターネットで検索すると出てくるんですね。自分のタイトルの付け方はつくづくオリジナリティがないと反省した次第です。
 ホームページは更新しないとダメだと思っています。いつも同じではリピーターを得られないからです。そこで、『きのこ屋』にしてからは最低でも月に1回は更新することに決めました。そのために写真も積極的に撮るようになりました。ポジでとったり、ネガで撮ったり、いろいなので、パソコンに取り込むためのスキャナはフィルムスキャナとプリント用のフラッドベッドスキャナの2台を持っています。
 ただし、最近はデジタルカメラを使うことが多くなっています。デジカメの場合、スキャナを使うよりパソコンへの取り込みが格段に速いし、いちいち写真屋にフィルムを出す手間が省けるというのが最大のメリットです。ランニングコストも電池代だけですから安くつきます。5万円くらいのデジカメなので、写りのほうはいまひとつですが、ホームページに載せる程度の画質でしたら、フィルムスキャナを使った場合と比べてほとんど遜色はありません。欠点としては、モニターが見にくいためピント合わせがしにくい、絞りの設定ができない(したがって被写界深度の設定ができない)といった問題はありますが、デジカメの性能は文字通りの日進月歩で向上していますから、おそらく1年後には銀塩カメラを使うことはまったくなくなるだろうと思っています。
 さて、ホームページを開いていていちばんよかったことは、インターネットを通じて遠く離れたキノコ好きとコミュニケーションがとれるようになったことです。まだ日本語オンリーなので、「遠く離れた」といってももっぱら国内ですが、同好の士とのメールのやりとりはなかなか楽しいものです。もちろん、中には「〇〇タケの生える場所と時期を教えてくれ」といった歓迎できないメールが届くこともありますが、まあ、めったにありません。
 ホームページを見てインターネット雑誌2誌から原稿依頼が来たこともあります。キノコのホームページを紹介する記事を書いてくれというものでしたが、「いろんな人が見てくれてるんだなぁ」とうれしかったです。
 で、実際にどれくらいの人が見てくれてるのかというと、アクセスカウンタの数字を見る限りでは、今年の夏頃までは平日で1日2〜3人から4〜5人でした。土曜の夜はそれより多くて7〜8人といったところです。ところが、いわゆるキノコシーズンに入った8月上旬頃からアクセス数が増えていき、2か月で約1500件をカウントしました。割算すると1日25件ということになります。キノコという地味なジャンルでは上々のアクセス数だと思っています。ただし、冬になればまたがくんと落ち込むでしょう。ちなみに、アクセスしてくれた人のうちでメールをくれる人は、おそらく1%もないという感触です。300件に1件もないかもしれません。その点は少々期待外れでしたが、返事を書かなければならない関係上、あまり来ても困るので、少しでも反応があればよいと思っています。
 あと収穫といえるものは、写真が面白くなったことですね。それまでは「キノコがうまいかまずいか」ということにしか興味がなかったのですが、写真の被写体としてキノコを見るようになったので、少し視野が広がったように感じられます。来年辺りは食えないキノコにも目を向けるようになる気がしています。
 ご参考までに、キノコ関係のお気に入りホームページをいくつか紹介したいと思います。全国のキノコの同好会にもホームページを開設している人が何人かいらっしゃいます。

『妙なるキノコのページ』(http://www.portnet.ne.jp/~nakinoko/)は、神戸市にある日本キノコ協会会員の中嶋知之氏のホームページ。食・不食にはまったくこだわらず、タイトル通り妙なかたちのキノコたちを重点的に紹介しています。日本産キノコの学名や方言のデータベースもあり、研究者らしい内容に仕上がっています。

『Wild Mushrooms From Tokyo』(http://www.ne.jp/asahi/mushroom/tokyo/)は、当会にも籍を置く丸山厚吉氏(神奈川キノコの会)のホームページ。東京周辺の野生キノコを海外に向けて紹介したサイトで、日本語版も用意されています。写真がきれいで感心させられるサイトです。

海外ページのおすすめは、『Myco Web』(http://www.mykoweb.com/)。Mike's Mycological Museumの副題の付いたアメリカのサイトです。インデックスが豊富で、どれも写真がきれいなので驚かされます。「どうせ自分のとはカメラもスキャナもソフトも全然違うんだろうな」とやっかんでいるのですが、データやコメントなど文字情報の構成も見栄えがよく(といっても、文字のほうはろくに見てませんが)、ボリュームも十分です。
 あと日本では、仙台キノコ同好会が東北大学のサーバーを使ってホームページを開いています(http://dbs.p.kanazawa-u.ac.jp/~ohta/sms.html)。キノコの同好会・研究会としての開設はここが最初ではないかと思います。また、学術団体では、日本菌学会関東支部(http://wwwsoc.nacsis.ac.jp/kb-msj/CGI/index_j2.shtml)にもホームページがあります。
ホームページ作りをいちばんおすすめしたいのは、キノコの写真撮影が好きな方々です。写真は一人で見るより、人にも見てもらったほうが絶対楽しいですからね。ホームページはそれを容易に可能にしてくれるのです。現在、日本のキノコ関係のホームページの写真のレベルは、決して高いとは思いません。一方、当会をざっと見回しただけでも、相当に力量のある方がいらっしゃるように見受けられます。そういう方々がご自分のホームページを持つようになれば、日本のキノコ関係のホームページももっとずっと注目されるようになるのではないだろうかと思うのです。ただし、ホームページというのは、写真を載せるだけではあまり面白くないので、文章や見せ方にも凝る必要があります。自分の場合、いちばん時間を食うのは何といっても文章です。図鑑に書いてあるようなことは書いてもつまらないと思っているので、なるべく体験的に書くように努めています。いろいろ面倒くさいこともありますが、やってみると面白いので、ぜひホームページづくりをみなさんにおすすめしたいと思います。




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