■ 小川少年自然の家 野外観察会 | ||
担当・報告:上原貞美、坂本晴雄 | ||
開催日:2000年11月5日(日) | ||
観察地:小川少年自然の家付近(埼玉県小川町) 集合場所:同駐車場 参加者名:47名 |
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a | 木を知ってこそきのこの理解も深まるというわけで、この日はゲストとして樹木の生態学を研究されている田村説三さん(比企郡玉川村在住)を講師に招き、きのこ観察とあわせて木の勉強会も行われました。 午前9時半に集合。会長挨拶のあと、田村先生の自己紹介が行われました。たまたま先生の頭上には黄葉したケヤキが枝を広げ、枝先の茶色く枯れたところに種をつけていたのですが、先生はこの落ち枝を拾い上げ、コナラのドングリなどと比べるときわめて小さなケヤキの種が、どのようにして風で運ばれ、どのような環境に芽を出して育つのか、といった話からご自分の研究する分野について簡単な説明をされました。 そのあと、個々にきのこを探す者、田村先生に付いて樹木観察するグループとに分かれ、それぞれ山の中へ。 小川少年自然の家周辺には、菌根菌と縁の深いコナラの木が多いのですが、コナラとミズナラの見分け方、生育環境の違い(関東ではコナラは概ね標高750メートルくらいまでで、それより高いところではミズナラになる。が、まれにコナラも1000メートルくらいのところにも生育する)等、きのこ探しと関係のある有意義なお話もうかがえました。 正午からは、会員それぞれが採取したきのこを持ち寄り、恒例の鑑定会。この日の鑑定は大館一夫さんが担当しました。 昼食を彩ったのは、担当幹事で本職のコックでもある上原貞美さんの作ったきのこ汁。箸と椀は会で用意し、食べ放題1人200円でふるまわれました。エノキタケ、ナメコ、ブナシメジ、シイタケなど、中身は全部栽培きのこでしたが、ゴボウ、大根、ニンジンなどの具がたっぷり。「せっかくだから採取したハタケシメジやクリタケも入れちゃえばいいのに」という人もいましたが、残念ながら?入りませんでした。 昼食後は、「里山の成り立ち」をテーマとした田村先生の講義が行われました。小川町周辺の山は、大昔にはシイ・カシなどの照葉樹が優占する山だったといわれます。ところが、そこへ人が入り、焼畑農業を行ったり、薪や炭を生産するようになると、コナラやアカマツなどが増え、里山に姿を変えていったのだそうです。 しかし、その里山もここ数十年でだいぶ様変わりしてしまったようです。20年も前までは一帯にかなり目立っていたというアカマツは枯れて減り、スギ・ヒノキの植林に押されてコナラもわずかしか残っていません。しかも、下草は伸び放題。そうした中で、この小川少年自然の家付近は、里山の面影を残した数少ない土地のひとつといえそうです。 確認種(同定カードに基づく) イグチ類:チチアワタケ、ヌメリイグチ キクラゲ類:アラゲキクラゲ、クロハナビラタケ、オオチャワンタケ ハラタケ類:ウラベニガサ、オウギタケ、ユキラッパタケ、アシボソシロシメジ、カキシメジ、クマシメジ、キサマツモドキ、オシロイシメジ、ハタケシメジ、ダイダイガサ、ナラタケ、ムラサキシメジ、モリノカレバタケ属、クリゲノチャヒラタケ、アカヤマタケ、ムジナタケ、キララタケ、ササクレヒトヨタケ、ヒトヨタケ、キヒラタケ、ヒラタケ、シイタケ、キショウゲンジ、ヒメワカフサタケ、アカモミタケ、キチチタケ、チョウジチチタケ、ハツタケ、ヒロハシデチチタケ、シロハツモドキ、ニセクサハツ、クリタケ、ニガクリタケ、スギタケ属、チャナメツムタケ、ヌメリスギタケモドキ、モエギタケ ヒダナシタケ類:クロラッパタケ、カノシタ、シワタケ、アラゲカワラタケ、カワラタケ、チリメンタケ、ホウロクタケ、ネンドタケモドキ、コフキサルノコシカケ フッキン類:カニノツメ、クラマノジャガイモタケ、キツネノチャブクロ、キツネノタイマツ、スッポンタケ、ハタケチャダイゴケ、ツチグリ、ニセショウロ、エリマキツチグリ、フクロツチガキ 、以上61種。 |
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