■ 菌類講演会 |
開催日:2004年2月15日(日) |
講師:土居祥兌氏(国立科学博物館) テーマ:菌類分類専攻研究者の研究方法など 開催場所:県民活動センター 305セミナー室 参加者:45名 世話人:東平恵司、坂本晴雄 報告:浅井郁夫 |
a | 例年この時期は識者を招いて勉強をする講演会を行ってきました。今回は国立科学博物館で長年菌類を担当されてきた土居祥兌博士を迎えて、3時間にわたって講演をしていただきました。博士は今年国立科学博物館を定年退官されるので、今回の講演は現役最後の講演となりました。今回は50名近くの参加者を迎えてとても盛況でした。 事務局東平氏の司会進行にはじまり、塩津会長による講師紹介があり、いよいよ本日の講師の土居祥兌博士の話に入りました。講演案内の葉書ではテーマとして「皇居のきのこ」となっていましたが、せっかく土居祥兌博士から話を聞けるのであればもっと有益な話にしてもらおうということになり、より本質的な話題に変更となりました。 博士によれば「皇居での撮影にはいろいろと制約があり、思うようには撮影できませんでした」とのこと。皇居という場所ゆえ写真撮影にはいろいろと制約があり、ツルタケなどごく少数のスライドだけがとりあげられました。皇居内のきのこのスライド写真を多数みられると思って楽しみにしていた会員からは、軽い失望のため息が聞こえてきました。 興味深い姿をしたツノゼミの話から始まって、京大探検部時代のこと、海外でのきのこ調査のこと、日本産の化石菌類、吹上御所の菌類のことなどを、スライドとOHPを使って話しはじめられました。台湾で、会員の吉田孝造さんが写っているスライドがあったり、話題はあちこちに脱線しました。 講演会場の305セミナー室は窓のシャッターが中途半端にしか閉じられません。このため、スライド映写にふさわしい暗さにできず、せっかくのスライドが見にくかったのは残念でした。太陽が雲に隠れると室内も暗くなり、スライドが鮮やかにみえるというありさまでした。誰しも、ずっと曇ってくれるとよいのにと思ったにちがいありません。 途中15分ほどの休憩ののち、いよいよ本題に入りました。「分類形質の評価ということは専攻研究者にとって大変重要な研究である。日本の研究者がそれらをどのように評価したのか、主な例を紹介したい。」として、本間ヤス、小林義雄、今関六也、椿 啓介、杉山純多といった著名な学者の仕事を紹介されました。 つづいて、博士の専攻分野の日本産ボタンタケ属の分類学的研究に関する話に入りました。ボタンタケ属の分類を講義するのが目的ではなく、分類形質の評価ということが主題なのですが、どうしても専門的な用語に触れざるをえません。扱われた概念もやや高度なこともあり、多くの会員にはちょっと難しかったという反応もありました。 子嚢菌で著名なKorfから思いがけない批判をもらったけれども、その助言には従わずに論文を発表したことや、その論文が多くの学者から引用されてきたことなども披露されました。pm4:40頃には司会進行の東平氏から「時間です」との指摘もあり、残念ながらすべてのスライドを上映する時間はありませんでした。最後に副会長の福島さんに講演会を締めくくってもらいました。なにはともあれ、有益な一日でした。 講演のあと懇親会が大宮の魚料理屋でおこなわれました。手違いから予定より30分以上も会場に到着するのが遅れましたが、土居博士を囲んで十数名の参加者により楽しい時を持つことができました。博士の気さくな人柄に驚いた参加者も多かったようでした。 吉永さんには重いOHPを持参していただきました。坂本さんには講演要旨を急遽プリントアウトしていただきました。会場確保に尽力された東平さん、会場設営に携わった幹事のみなさん、スライド準備をしてくださった大館さん、スライドのコマ送りをやってくださった鈴木さんらの協力のおかげで、今回の講演会も成功裏におわりました。 最後に日程が当初予定の2月8日から2月15日に変更されたことにより、参加を断念した人や、日程を間違えて結果的に参加できなかった人がいたことは、とても残念でした。 |