■ 秋ヶ瀬公園野外観察会
開催日時:2007年11月4日(日)
集合場所:秋ヶ瀬公園三つ池駐車場
観察地区:秋ヶ瀬公園周辺
参加者:39名(会員外3名)
世話人:塩津 晋、佐藤 俊朗、小山 秋夫、葛西 俊明、野沢 潔
協力者:佐藤 晴時、橋本 稔
鑑定人:西田 誠之、大久保 彦、吉永 潔、富田 稔、小山 秋夫
報告 :佐藤 俊朗
a | 雨上がりの穏やかな小春日和、園内は程よい賑わいを見せている。出席を確認し前会長塩津氏の挨拶、 続いて配布した地図を元に時程等の説明を経て観察に向かった。 世話人は総出できのこ汁の準備に入る。所沢の佐藤さんご夫妻には今年も刻んだ鹿肉や野菜、鍋や食器、コンロまで持ち込まれて、付きっ切りの奉仕をしていただいた。熊谷の橋本さんは大量のきのこを持参されて参会者に提供してくださった。。スタッフは一ヶ月以上前から山に入って食用きのこを採取して保存、持参していただいた。天然もの32種、栽培もの5種を投じたきのこ汁は他に例を見ない豪華さであった。 天然もの ハナイグチ、アイシメジ、ハツタケ、アカモミタケ、チャナメツムタケ、ハナビラニカワタケ、ナラタケ、ハタケシメジ、キヌメリガサ、アミタケ、タマゴタケ、クリフウセンタケ、サクラシメジ、ウラベニホテイシメジ、ヒラタケ、アラゲキクラゲ、ムラサキシメジ、ムキタケ、ヌメリツバタケモドキ、ヌメリイグチ、キノボリイグチ、ブナハリタケ、コガネタケ、キシメジ、カノシタ、エノキタケ、シロナメツムタケ、エセオリミキ、ホウキタケ、マツタケ 栽培もの シイタケ、ヒラタケ、ブナシメジ、マタタケ、ナメコ 調理の最中に公園監視員がやってきた。昨年まで「火気厳禁」の看板があったので、ひと悶着の発生かと思いきや「鍋はいくつ使っているの」と聞かれた。三個だと答えると、早速1,500円徴収された。 例年のことではあるが自然環境からも時期的にも難しい条件の中で真剣に採集され、同定された菌類は次のとおりである。 ハラタケ目(16種) エノキタケ、ハタケシメジ、カレバキツネタケ、コカブイヌシメジ、ヒトヨタケ、キララタケ、イヌセンボンタケ、スギタケ、クリタケ、ヌメリスギタケ、ザラミノシメジ、サビイロオチバタケ、ウスムラサキシメジ、ウスフジフウセンタケ、ヒメムラサキシメジ、ヒメサクラシメジ ヒダナシタケ目(21種) ニクハリタケ、スジウチワタケモドキ、アミヒラタケ、ニクウチワタケ、ホウロクタケ、ヒイロタケ、カワラタケ、アラゲカワラタケ、ヒメモグサタケ、チャミダレアミタケ、チャネンドタケ、カミウロコタケ、カイガラタケ、クジラタケ、ツヤウチワタケモドキ、ホウネンタケ、センベイタケ、チャウロコタケ、ヤケイロタケ、ヒメツチグリ、オオミノコフキタケ その他(5種) ノウタケ、カニノツメ、スッポンタケ、アラゲキクラゲ、タマキクラゲ 外部から持ち込まれた菌類(7種) ナラタケ、ハタケシメジ、ヌメリイグチ、アミタケ、クリタケ、ヒメサクラシメジ、未同定(1種) 園内の採集種ではハラタケ目は少ないがヒダナシタケ目等が多く、全体としては昨年同期とほぼ同数の43種ほどであった。ちなみに、この10年来園内で新たに見つかった菌類(秋ヶ瀬産新種と言っておく)は昨年10種、今年13種であった。西田氏他4名の鑑定員のご協力によって同定作業が行われ、それぞれ次のような解説がなされた。 西田氏 菌類の生態や同定の基礎知識について解説され、合わせて分類上の最近の話題を提供された。とくにオオミノコフキタケ(新称)とコフキサルノコシカケ、チャミダレアミタケとホウロクタケ、ハタケシメジとザラミノシメジなどに言及された。 大久保氏 専門の地下生菌について解説され、12月15日の映像発表、来年2月17日の地下生菌講演についての参加呼びかけがあった。 吉永氏 トウカエデの根が気根状に露出している状態を例にとって根と酸素の関係や菌と酸素の関係に触れながら、菌類の発生について話題を提供された。 富田氏 気候のデータ、特に降雨量や気温、雨後いく日ぐらいで「きのこ」が発生するかなどについて所信を述べられた。発生時期や菌類の種類にも関わる難しい課題ではあるが関心の持たれる内容であった。 小山氏 112m、3600tの大木の話題に端を発し、自然保護について話題を提供された。人工林的な要素が強い秋ヶ瀬公園ではあるが、ハンノキ林がクヌギ林に遷移する傾向など菌根菌の発生についてついてふれられた。 最後に事務局長の籾山氏から挨拶、諸連絡があって閉会した。 「きのこ研究会」の行事である故に、秋ヶ瀬観察会も何らかの研究テーマを持つべきだと思い経年、研究を模索してきたが、方法論について助言いただければ幸いである。 一方、会員親善の意味での「きのこ汁」の提供は大好評であり、30種以上のきのこが沢山入ったお椀を2杯、3杯と食べていただき担当者も大満足であった。 後日、不明の2種をヒメムラサキシメジ及びヒメサクラシメジと同定された由、西田氏より連絡がありその真摯さに啓発された。 最後に、ご協力いただいた参加者の皆様方に心からお礼申し上げる。
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