テーマ 1 「2008年 森ときのこ(地下生菌を含む)」 大久保 彦
2 「Stephanospola sp. (地下生菌)」 近藤 芳明
3 「Tuber sp.」 秋山 恭子
4 「今年、気になったきのこ」 西田 誠之
5 「めだたないきのこ(キクバナイグチ)」 富田 稔
6「菌類がいる生物的自然からの環境的勾配(傾度)を
見て解く、森の性格」 神 ナロウド
7 「出来るだけ2008年に撮ったキノコ」 湯峯 英二
当日は24節気の大雪(太陽の黄径255度ときく)だけあって空気は冷え込んで、早朝、はじめての薄氷を見つけたほど寒い日でした。その分お天気は快晴、空は果てしなく青く気持ちのよい1日となりました。ヌエックのミーティングルームに入ると世話人さん達はプロジェクター(projector 映写機)の調節に忙しく、また大きくひき伸ばされた4枚のきのこの写真・アカヤマドリ、ヒロメノトガリアミガサタケ、シロテングタケ、シロタマゴタケはみんなをにこやかに迎えてくれました。
福島会長の、今日は勉強させてもらうのを楽しみにしているとのご挨拶から勉強会ははじまり、大久保さんの川越の雑木林の詳しい観察でゴンズイという、姿かたちがまとまりがない木、別名「ショウベンの木」など、うれしくない名前までつけられている木のことや紅葉葉楓と書いてモミジバフウと読み、かえでという文字がつくのにカエデ科ではないという樹木のこと(どうでもいいことは簡単におぼえるものです)、勿論トリュフ、中でも白いトリュフや会津で見つけたカンゾウタケ、秋葉原の モロッコ産マツタケ、又今でも催されている上野・国立科学博物館のきのこ展、「菌類のふしぎ」から若者に人気のアニメ、もやしもんのことなど多岐に亘っておもしろく話されました。
トリュフに関連して近藤さんが薬品臭の強いステファノスポラ( 背着性のきのこ、広義のコウヤクタケ科に属するLindtnevia属から地下生菌に進化したといわれている)という地下生菌のことを話され、横瀬町の秋山さんは友人の宮脇正雄氏がまとめられた資料にそってやはりTuber sp、トリュフのこと。お話を聞き又資料を読ませていただき梅酒のにおい、生で試食?など思っても見なかったきのこの味、香りに驚きました。かかれているようにきのこの味覚に対する先入観は変えなくてはいけないようです。そしてまたそんなきのこを一口、かじってみたい思いにかられました。
西田さんは今年気になったきのこの概観比較というテーマ。高原のきのこ、赤い色のきのこ、観察会採集種からと分りやすく分けられての説明、60種ほどの似た名前のきのこは資料に詳しくかかれ、中でもバライロウラベニイロガワリはわが会の上原さんも命名者のお一人とか、一口食べても幻覚症状が出る猛毒のきのことのことです。観察会でのきのこから説明されたムラサキシメジとウスムラサキシメジでは、ウスムラサキシメジのほうは根元が曲がっていたり傘の中央に薄い茶色が混じり、中毒例もあるとかで、似ているキノコによくよくご用心です。
午後は富田さんの「めだたないきのこ」。観察会で少ないきのこ、講師が説明しないと記憶に残らないものをあつめられました。プリントされた写真を見るとキクバナイグチやウラベニイロガワリなど、同じ種の違った顔が見え、本当に同じもの?と眼をこすり直しました。
神さんは今回も資料をばっちりそろえてくださり菌類と環境と森を「白神山地の一二湖」と谷川、「土樽の森」とを対照しながらの熱弁。両方とも人工林の進入はあるが集落はなし、伐採後の植栽(2次林)は狭いという共通点を持つそうです。資料のまとめを引用させていただくと「その杉林の成長から土樽は針様の木の梢が丸みを示して不適木、渓畔も疎林、菌類は分解系が主で不健全な生態系を見せる菌類が多く、生物多様性が低く食物網が偏る。十二湖のほうは樹洞とギルドが多く生物多様性が高い。北の一二湖の森と南の土樽の森との緯度的位置での差、都市化での差があると感ずる。今後標高が高い部分の森と人工林との境界に生態系機能の転換地点を見つけ、その生態的自然を比べ観た時、両方の差異を明瞭に見出せるのではないか」と結ばれています。
最後は湯峯さんのスライド。映写機の調子を合わせるのに多少時間がかかり裏に映ったりさかさに映ったりもしましたが、コトヒラシロテングタケ、アミガサホウライタケ、ウメウスフジフウセンタケ等、珍しい映像20近くを発表しました。
福島会長は終わりの挨拶で、今日はたくさんのことを学ばせていただいた、はじめの植物の話は興味をひき、神さんのきのこの追いかけ方が面白い、又この発表は学会の発表ではないので誰でもが発表できる形 (例:模造紙をつかう。ひとつのキノコをじっくり眺め、自分の分ったこと、料理などの発表でもよいと思う。素人の集まりなので多くの人が参加できれば ・・・といわれたのが印象に残った勉強会でした。
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