例年この時期は、雨が心配されるのですが、キノコ日和でした。実施日は、昨年より一週間早くしたので、テングタケ科とイグチ科のキノコ発生が少なかった。目立ったキノコは、巨大なムレオオイチョウタケ、柄に赤みのあるイロガワリ、小型種のクロヒメカラカサタケ等でした。
聞くところによると花菖蒲も春先の低温のため、約十日遅れて開花したという。キノコも同様なことが言えました。
例年、埼玉きのこ研究会では、ナメシスギタケ(井口)という仮称の和名を付けていましたが、このキノコに正式な学名がつくらしい。和名はコツブチャツムタケで、チャツムタケの特徴があり、胞子が小さいのでコツブというらしい。
以下、篠崎 正一氏に感想を書いてもらいました。
私は、昨年入会のお許しを頂いた、篠崎と申します。
入会までのきのこ知識は、スーパで売っている「栽培きのこ」、「マツタケ」、時折耳にした「トリュフ」、がんに効くと言われた「サルノコシカケ」くらいしかありませんでしたし、現在もあまり多くのことは、知りません。
入会の動機は、きのこ研究に長年携わってきた、みなさんや先生方から見ると、「やはりおまえもか!」と眉をひそめられそうですので、ここではあかさないことにさせていただきます。
今回は、栗原、大久保氏に同行させて頂き、赤坂の森公園にまいりました。
私は、きのこの勉強会や観察会に行くたびに「え、うそ、そんな、・・・」などのつぶやきを発することが、幾度かあります。今回の最初のドキィー「え」は、現地に向かう車中で、大久保氏が、「篠崎さんは、どの様なきのこに関心がありますか?」でした。それは「食べられるきのこの・・!」と、のどまで出かけましたが、グーとのみ込み、答えず黙り込んでいました。
やがて現地に着き、森に入るやいなや栗原氏から「きのこ見つけた」の声がありました。はっきりとは、記憶していませんが、「クロハツ」だったと思います。
その後「マンネンタケ」、「キクラゲ」、「ツエタケ」・・・「ナニナニだけ!」と次々に両氏がきのこを見つけられました。
私は、図鑑でしか知らないきのこが、こんな身近な雑木林でみられたことに、おもわず感動の「え」を発しました。最初は、珍しさもあって写真をとっていましたが、両氏に遅れがちになり、その後は、両氏のみつけられたきのこ集めに徹しました。30分もしないうちに採集袋が満杯になりました。昨年から幾度か観察会に参加しましたが、これほど多くの種類を自分の手で採取できたのは初めてでした。その時大久保氏から「篠崎さんこの感動を記事にしてくれません!」でした。これは、まったく予期していませんでしたので、戸惑いの「ええ・・!」でした。
観察会でいつも感じるのですが、鑑定の先生方が次から次と典型的な様相をしているきのこは別にしても、類似しているものや時間経過したものを分け定める手腕には、熟練者を超え神秘的なものを感じるのは、私だけでしょうか。
6月23日:篠崎
確 認 種
(ハラタケ類)
ヒラタケ科:アラゲカワキタケ、マツオウジ
マツオウジ 撮影 河野茂樹
キシメジ科:アマタケ、オリーブサカズキタケ、アカチャツエタケ、サマツモドキ、
キツネタケ、ムレオオイチョウタケ、ヒロヒダタケ、ツエタケ、ヒメカバイロタケ、
ダイダイカサ、モリノカレバタケ、スギカワタケ、ザラミノシメジ属
ダイダイガサ 撮影 河野茂樹 スギカワタケ 撮影 西田誠之
テングタケ科:ガンタケ、テングツルタケ、ツルタケダマシ、
ツルタケダマシ 撮影 河野茂樹 テングツルタケ 撮影 西田誠之
ハラタケ科:クロヒメカラカサタケ
ウラベニガサ科:ベニヒダタケ
ヒトヨタケ科:ウシグソヒトヨタケ、ミヤマザラミノヒトヨタケ、イタチタケ
イタチタケ 撮影 河野茂樹
イッポンシメジ科:キイボカサタケ、シロイボガサタケ
フウセンタケ科:アカヒダワカフサタケ、キヌハダトヤマタケ、
コツブチャツムタケ=ナメシスギタケ(井口
アカヒダワカフサタケ 撮影 西田誠之
チャヒラタケ科:クリゲノチャヒラタケ
クリゲノチャヒラタケ 撮影 河野茂樹
イグチ科:アカヤマドリ、アワタケ、クロアザアワタケ、イロガワリ、コショウイグチ
ヤマイグチ
アカヤマドリ 撮影 河野茂樹 イロガワリ 撮影 大久保 彦
ベニタケ科:クロハツ、クサハツ、キチャハツ、カワリハツ、ケショウハツ、
ドクベニダマシ、ヒビワレシロハツ、ヤブレベニタケ(アカフチベニタケ)
、チギレハツタケ、キチチタケ、ヒロハシデチチタケ、チョウジチチタ、ベニタケ属3種
オキナタケ科:フミヅキタケ
フミヅキタケ 撮影 河野茂樹
(ヒダナシタケ類)
アンズタケ科:アンズタケ
アンズタケ 撮影 河野茂樹
ウロコタケ科:チャウロコタケ
フサヒメホウキタケ科:フサヒメホウキタケ
シロソウメンタケ科:シダレハナビタケ
タコウキン科:アオゾメタケ、アミスギタケ、ウチワタケ、オシロイタケ、
ツヤウチワタケ、センベイタケ、ニッケイタケ、ヒイロタケ、ホウロクタケ、カワラタケ、
アラゲカワラタケ、カイガラタケ、ニクウスバタケ、ブドウタケ、チャカイガラタケ、
エゴノキタケ、ヤケイロタケ、ベッコウタケ、ブドウタケ、ホウネンタケ、
ネンドタケモドキ、レンガタケ
マンネンタケ科:マンネンタケ、オオミノコフキタケ
タバコウロコタケ科:ネンドタケ
(腹菌類)
ホコリタケ科:ノウタケ
ツチグリ科:ツチグリ
キクラゲ科:アラゲキクラゲ、キクラゲ、シロキクラゲ
シロキクラゲ 撮影 河野茂樹
アカキクラゲ科:ツノフノリタケ
ツノフノリタケ 撮影 西田誠之
スッポンタケ科:キツネノタイマツ
ニセショウロ科:ニセショウロ属
(子嚢菌類)
クロサイワイタケ科:Xylaria s p
バッカクキン科:オサムシタケ、
以上92種で日本菌類図鑑による分類。
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