11月に入って2日には、木枯らし1号が吹くのではと騒いでいたほど冷え込んできた。冬型のキノコたちは発生の準備に忙しいのだろうか。
人間界においては暖房の支度に追われる毎日である。その中でどうか観察会当日は暖かくあって欲しいものと念じたのが通じたのか、思いのほか暖かい日ではあった。
当日は福島会長、大館副会長が都合で不参加、西田氏も体調不良との連絡があり、さて当日の同定は誰にお願いしようかと心配もしたが、幸いにも大久保、吉永両先生がご参加くださり同定を開始した。
しばらくした頃西田氏が体調不良にもかかわらず現れ安堵した次第であった。
(散会後に採取品を会長までお届けし、最同定をお願いした。)
当日の公園周辺は、乾いていて毎度のようにキノコの種類が少ないのではと危惧したとおり採集種も少なく、多孔菌ばかりが目立つといった按配であった。
そんなわけで多少興ざめの観察会にあって、違った意味の楽しみである「キノコ汁」を食べながらの昼食・歓談となった。
今年も会長お手製のそれは、前日作って届けてくださったもので、よく煮込んであった。四つのうま味成分(グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸、コハク酸)のほかに食感を考えてかタケノコまで入っていた。
午後は同定された採取品を観察し、講評を拝聴して、採集種が少ないためか早めの解散となった。
キノコ汁のレシピ 福島隆一
今年度のレシピは以下の通りです。
材料(キノコ) その他の材料
マッシュルーム 1,0kg ホタテ3パック サラダ油100g
ブナシメジ 1,5kg 木綿豆腐 3丁 味噌 300g
マイタケ 800g タケノコ 500g 醤油 200g
アラゲキクラゲ 600g ニンジン 3本 つゆの元300g
ウスヒラタケ 500g タマネギ 7個 追い鰹つゆ200g
ハナビラタケ 400g ダイコン 1/2本 日本酒 500g
エリンギ 300g コンニャク 2パック 青森シャモロック
ブナピー 100g レンコン 300g だし汁 500g
シロネギ 6本 干しシイタケ100g
ショウゴインダイコン1本 削り節50g昆布100g
キノコ類は、ハナビラタケの展示即売などで東北地方を5回まわり
その際キノコ業者の展示物を頂いた物や、長野県のキノコ栽培業者
から頂いた物、ホクト財団のキノコ勉強会で頂いた物等を薄味で煮込み、
煮汁はペットボトルに移し、キノコに冷凍庫の臭いが付かない様にフリーザーバックを3重にして別々に冷凍保存して置きました。
昨年他団体の方達が合流し、今年もその様な人達が,来られても大丈夫の様に
100人分程の量を準備しました。野菜類を沢山入れたのはその為です。私は食べていませんが、キノコのけんちん汁に成ってしまったのではないかと心配していました。
当日参加出来なくなってしまい、役員様や担当責任者の方々にご迷惑をお掛けいたしました事、お詫び申し上げます。特に葛西さんには、夜遅くまでお付き合い戴き大変お世話に成りました。
秋が瀬公園野外勉強会確認種
担子菌門
ハラタケ亜門
ハラタケ綱
ハラタケ亜綱
ハラタケ目
ハラタケ科
ノウタケ属 ノウタケ、オニフスベ
ホコリタケ属 ホコリタケ
アセタケ科
アセタケ属 Inocybe sp
シメジ科
シメジ属 ハタケシメジ
ハタケシメジ 撮影 河野茂樹
ホウライタケ科
ホウライタケ属 カバイロオオホウライタケ
タマバリタケ科
ナラタケ属 ヤワナラタケ Armillaria sp
エノキタケ属 エノキタケ
ヒラタケ科
ヒラタケ属 ヒラタケ
ウラベニガサ科
ウラベニガサ属 Pluteus sp ベニヒダタケ
ベニヒダタケ 撮影 富田稔
ナヨタケ科
ヒメヒトヨタケ属 ヒトヨタケ
ヒトヨタケ 撮影 河野茂樹
ナヨタケ属 ムジナタケ
モエギタケ科
スギタケ属 キイロツチスギタケ(イ) スギタケ属(ロ)
キイロツチスギタケ 撮影 河野茂樹
キシメジ科
ムラサキシメジ属 Lepista sp
スッポンタケ亜綱
スッポンタケ目
ヒメツチグリ科
ヒメツチグリ属 フクロツチガキ
ラッパタケ目
スッポンタケ科
スッポンタケ属 スッポンタケ
亜綱なし
タバコウロコタケ目
タバコウロコタケ科
キコブタケ属 ネンドタケ
アナタケ科
シロヒモカワタケ属 アナタケ
サルノコシカケ目
シワタケ科
シワウロコタケ属 シワタケ
エビウラタケ属 エビウラタケ
サルノコシカケ科
シロアミタケ属 カワラタケ アラゲカワラタケ クジラタケ
チァミダレアミタケ属 チァカイガラタケ エゴノキタケ チャミダレアミタケ(ハ)
チャカイガラタケ 撮影 富田稔
マンネンタケ属 オオミノコフキタケ
オオミノコフキタケ 撮影 河野茂樹
シュタケ属 ヒイロタケ
カイガラタケ属 カイガラタケ
ツヤウチワタケ属 ツヤウチワタケ
ツヤウチワタケ 撮影 河野茂樹
所属科不明
ニクウチワタケ属 ニクウチワタケ
ミダレアミタケ属 ミダレアミタケ
ベニタケ目
ウロコタケ科
キウロコタケ属 チャウロコタケ チウロコタケ?(着生材不明)
カミウロコタケ属 カミウロコタケ
(イ)キイロツチスギタケという和名は、2010年に発刊された新潟県のきのこの監修を為された宮内信之助氏が付けたものである(66頁)学名はpholiota
terrestris Overholts Subsp:である。(67頁)には、ツチスギタケ(ムジナスギタケ)という和名が有り、学名はpholiota
terrestris Overholtsである。
これを見る限りツチスギタケの近縁種ということになる。
この事に付いて新潟きのこ同好会事務局の小林氏に問い合わせ、新潟きのこ同好会会誌(2009)のコピーを送って頂き、検討してみたが、詳細な記載が無かったので宮内信之助氏に電話で問い合わせてみた。1927年に原記載Overholts氏の論文や1938年今井三子氏の論文の話等を伺う事が出来た。
本郷図鑑に付いても言及していたが納得がいかなかったので、1968年出版されたSmith氏のTHE NORTH AMERICAN SPECIES
OFPHOLIOTA(195〜198)PLATE4に細かい記載が有るので読んで見た。
キイロツチスギタケは今年度子実体を出そうと種菌を準備して何度か培養を続けていたが、オガクズ培地でも伸長が遅く困っている。以前培養したツチスギタケと菌糸の伸びが異なるので、培養の諸条件を整え、多くの菌株を集めて再挑戦をしたいと思っている。
会員の皆様で上記の2種を見つけたら是非お知らせ下さい。宜しくお願いします
(ロ)小川げんきプラザ・野外観察会(ニ)で報告した種であるが、この種は簡単にきのこを作りそうなので上記の2種と比較しながら2013年の宿題にしている。
秋が瀬でも見られたので同じ文章であるが書いておくことにする。
(ニ)外見は、スギタケに似ているきのこであるが、草地や林道脇の路傍等に発生し、培養菌糸が白色で、伸びの早
い菌糸である。形態的にはスギタケに似ているが、スギタケやスギタケモドキは、菌糸の成長が大変遅く栄養成長や生態的には、ヌメリスギタケ等に近い種と思われる。平成2年〜5年頃、熊谷農業高校の畑でマツオオジや各種の食用きのこの原木栽培を行ったが、埋め込んだ短木の周辺から沢山発生したスギタケ属のきのこであり、土中の埋もれ木や有機質を栄養源にして発生すると考えられる。山渓カラー名鑑(222)ツチスギタケpholiota
spと同種と思われる。
現在種菌を準備している株は2010年に秋が瀬公園で採集した物である。
(ハ)チャミダレアミタケと思って鑑定していたが、石川県で行われた日本菌学会のフォーレで見たものは、秋が瀬で見た物より小型であり、色も黒味がかっていたのを覚えている。昨年10月ホクト財団キノコ勉強会(長野県野麦峠周辺)でそれらしいきのこを採集したので今後検討したいと思っている。
今回採集した個体は吉永さんが、服部力氏に見て頂くために持参したと聞いているので期待している。
観察地位外から持参された種は以下の12種であった。
ムラサキシメジ コケイロヌメリガサ ホオベニシロアシイグチ ムレオオフウセンタケ キハツタケ
アカモミタケ オシロイシメジ スギエダタケ マツオオジ カキシメジ?
ヒラタケ カマドシメジ(日本きのこ同好会図版930青木
投入種 (順不同)
栽培もの9種
シイタケ、マイタケ、ハナビラタケ、エリンギ、ブナシメジ、ナメコ、キクラゲ、
ハタケシメジ、エノキタケ
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