今年度はシイタケ、シロヒラタケ、ヒラタケ、ナメコの4種類を接種しました。シイタケ栽培用のコナラ原木と短木栽培用のイヌシデは橋本稔さんと長谷川勝三さんが前日に玉切り、準備をして頂きました。種菌は福島が準備しました。
9時30分から作業の説明と作業上の諸注意(回転体:ドリルによる巻き込み)(ハンマーによる指叩き)(原木の落下注意)(カッターによる切傷)等の話しがなされました。作業の流れは以下の通りです。
①、シイタケの原木栽培
数年前より生駒が入手出来なくなり、昨年はオガクズ種菌を接種しました。しかし手間が掛り大変であるので生駒を捜し求め、何とか例年通りに戻しました。駒打ち作業は皆さん慣れているので100本の原木も30分も掛らず終了しました。
②、短木栽培等
次にシロヒラタケ、ヒラタケ、ナメコの順に、表1のような内容で短木栽培を実施しました。
表1(使用した原木と大きさ)
菌種
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樹種・本数
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太さ(cm)平均
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高さ(cm)平均
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シロヒラタケ
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イヌシデ・30本
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20~30
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20
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ヒラタケ
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イヌシデ・30本
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20~30
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20
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ナメコ
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イヌシデ・30本
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20~30
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20
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③、販売、栽培方法の解説等
12時30分頃までに作業を終了し、その後販売(1本700円)しました。
販売終了後プリントを見ながら30分程、栽培方法や要領について説明しました。仮伏せは敵だらけの菌の世界で、いち早く自分の城を造ってしまうという大事な作業である事や、キノコの栄養菌糸の生長には十分な湿度と適度な温度が必要であること等を話しました。
土に伏せ込んだ原木にシロアリが大発生した事やナメクジにキノコを食われてしまう事などが話題に成りました。
マンションのベランダでシイタケやマイタケの原木栽培をするのは如何したらよいか?等、難解な質問もあり、巧く栽培できたら会報に報告して頂きたいと思います。
④、今年度の反省や感想
短木栽培で、オガクズ種菌を塗るときに外にこぼれてしまう事が多く、昨年同様に会員の村田紀彦さんが幅の広い革ベルトをまきつける事によりオガ菌のこぼれを防ぐアイデアを示して頂きました。来年は、10個程作り準備をしたいと思います。
新しいアイデア等は直ぐに取り入れて栽培を行いたいと思いますので良い知恵が有りましたら情報をお願い致します。
また大形のマイタケ滅菌完熟原木を7本寄贈していただきました。希望者が殺到したのでアミダで抽選となりました。尚売り上げ金7千円は会に寄付して戴き感謝に耐えません。
昨年実施したナメコの短木栽培できのこが出来なかったという声が聞かれたので、ナメコが出なかった方10人に無料で1本ずつ差し上げました。巧く管理し、立派な原木ナメコができると良いですね。
写真は、木幡チヤ子さんに撮って頂き、お世話に成りました。
栗原幸子さんには、毎年種菌管理などでお世話に成り感謝しています。
⑤、今年度の種菌製造
シイタケの種駒作り。
2月3日(日)900mlハチミツビン9本に4000駒程入れ、121℃・70分滅菌を行う。
2月4日(月)クリーンベンチで接種後25℃培養。2週間程で菌糸は蔓延するが、駒内部に十分菌糸を蔓延させるため3月16日まで25度の暗室で培養しました。
ナメコのオガクズ種菌作り。
2月8日(金)乾燥ブナオガクズ2,5kg、フスマ1,1kg、水7kgを良く練り、900mlハチミツビン22本に500g詰め、16,5ミリ試験管で3本孔を開ける。121℃90分滅菌。滅菌後の初発pH4,92、含水率66,5%。
2月9日(土)クリーンベンチ接種後、25℃暗室培養。1本孔の時には菌糸が蔓延するのに3週間程掛るが、3本孔の場合には2週間であった。
ヒラタケ、シロヒラタケのオガクズ種菌作り。
今年は培地容器に桂木産業のNKポット(2,7ℓ)を使いました。
2月10(日)、乾燥ブナオガ9kg(約36ℓ)フスマ、2,1kg、水16kgをよく混ぜ、1,7kg詰めで14ポットと余ったオガクズで900mlハチミツビンに500g詰めで7本作れました。その後121℃120分滅菌しました。
自宅のクリーンベンチと研究所のクリーンベンチを使い、2月12日(火)と13日(水)に接種しました。シロヒラタケ8ポット、ヒラタケ6ポット作成し、残りの7本のハチミツビンにはヒラタケを接種しました。2,7ℓ(NKポット)は、18ミリ試験管を5本立てて滅菌し、接種する時に試験管を抜きながら行うと、底の部分まで接種できるので菌廻りが速く、25℃、10日間で完全に菌糸が回りました。
ヒラタケやナメコ種菌用の増量オガクズ等は、3月15日(金)と3月16日(土)に乾燥ブナオガクズ30ℓに10ℓのフスマを混ぜ、含水率72%程度にし、121℃70分滅菌したものを使いました。
きのこの会が発足してから、長い事栽培に携わって来ましたが、皆さんの協力で続ける事が出来ました。原木を伐採し、日陰で水抜きをし、前日に細かく玉切り、植菌器具や原木を全て会場に運搬、売れ残った物や道具の片付け等、何時もの事ながら担当責任者の方は大変な思いをなされているものと恐縮しています。
きのこの栽培は、生き物を飼う心が必要です。
快適な環境を維持し、小まめに観察、育む百姓心が大切です。今年は既に桜が咲きました。コブシやシロモクレン、桃、レンギョウなども一斉に咲き始めています。
この時期は何時も憂鬱に成ります。桜の花はどのような仕組みで花を咲かせるのだろうか。そこには、分子のレベルでコントロールされている大変な仕組みがあります。生き物達は皆同じ様に生きるための複雑な情報伝達をしていますが、私達に出きる事は、こうしたらこうなるという事を繰り返し、仕組みは判らなくても生き物達の生き様を応援する事は出来ます。
今年も既にトガリアミガサタケは生長してきました。アミガサタケは、内生菌根を作り、外生菌根菌でもあり、培養菌糸は1週間も経たないうちに9センチシャーレに菌糸が蔓延してしまうようなカビのような菌糸です。培地重量の半分ぐらいの大形菌核を作りますが、なかなかキノコを作ってくれません。
きのこの栽培をやっています。といいながら自然界のキノコ達の99%以上、どの様にしてキノコを作るのか判りません。メカニズムは判らないけれどもキノコは、動物や植物達と同じ様な仕組みで生きているはずです。
何も判りませんが今後もきのこの生き様を追い続けたいと思いますので、御協力宜しくお願い致します。
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