2月1日の顕微鏡・培養実習顛末記。 福島隆一
埼玉キノコ研究会30周年記念の目玉として行った事業であるが、平成25年度の事業計画から難題が続いた。講師を如何しようか?場所を何処にしようか?等悩みが尽きなかったが、場所の確保が先であるのでまず熊谷農業高校に当たってみたが、見事に断られた。
在職中に理科講義室や準備室など、全て科学部で占領していた15年間の恨みが有るのだろうか?とも考えたが、そうでは無かった。杉戸農業高校で教員をしている科学部出身の先生にお願いして判ったのであるが、一般の人に学校を解放しているのは、体育館やグランド等である。更に担当する教員が付いていなければ認められないのである。まして、生物室や工学科等の実験室の顕微鏡など日曜日に貸せる訳がないのである。
頭の良くない私はそれでも諦め切れず、鶴ヶ島にある農業大学校に何度も足を運び交渉して見たが、土日に先生が付かない限り駄目であるという事であった。
最終的に長瀞にある自然の博物館にお邪魔し担当者から色よい返事を戴き、何とか場所の確保だけは出来た。
講師に付いては、顕微鏡観察で有名な浅井さんにお願いして見ることに成った。上原さんからお願いして頂き、承諾を戴いた。その後担当者と2度お会いし打ち合わせ、漏れが無いように準備した。最終的には、1月16日の午後4時に自然の博物館で担当職員の方にお会いし、最終の打ち合わせを行った。
退職なされた吉田さんにもお手伝い頂けることに成り、心強い限りであった。これで大丈夫であると思っていたが、それほど甘くなかった。
私が担当する培養基材を作るのに四苦八苦であった。1月25日に理研で浅井さんの資料を印刷した時点の申込者は、10人に満たなかったので多めの22部印刷した。1月30日の時点の申込者は17名であったので余裕を見て、私の資料は、25部印刷した。前日の夜に申し込みされた方が5名追加になり、22名となった。当日ふたを開けて見たら参加者は27名になり、喜ぶべき事であるが、資料が足らなくなってしまった。
こんな事も有ろうかと、コピー用紙を200枚用意し、不測の事態に備えたつもりが甘かった。博物館のコピー機は代金を支払っても印刷できない事が後に成って判った。お金を戴いても県に収めるシステムが無いという理由である。結局、近くのコンビニに行きコピーしたが、あれが足らない、これが無い等対応しきれず、浅井さんの話を聞いて居る間が無かった。
沢山の培養基材を準備したり積み込んだりしている内に時間ばかり過ぎてしまい、9時45分に着いた時には、既に研修が始まっていた。遅れてしまい皆さんに迷惑をおかけし大変申し訳ない事をしたと反省している。
午後行った培養研修は、テキストを見ながら40分説明し、実習に移行した。実習は、次の4点を行った。@、植継の基本操作と方法。A、組織培養の基本操作と方法。B、寒天培地の分注方法。C、植継針の作り方、植継の鎌や畔掻きの作り方等。予定より15分程遅れたが、火傷や怪我も無く無事終了出来たことが何よりであった。
今回顕微鏡実習や培養実習を初めて行ってみたが、浅井さんの話によれば、それなりの実習を行うには2日間位必要であるという。培養実習に付いても同様に思う所である。強いて言えば別の日に1日単位で欲しいという事であった。私自身の反省は、講師役と世話人役を同時に行ってしまった事である。多くの方のお力を借りるべきであった。
顕微鏡観察
今回の30周年記念講座は「きのこ雑記」で多くのキノコマニアがお世話になっている浅井郁夫さんを講師に迎え、初心者にも楽しめる「顕微鏡観察講座」を実施いたしました。
参加は25名で顕微鏡を扱うのは初めてというかたも多く講座の進行が懸念されましたが、浅井さんの手馴れた指導により、また、会員の吉田さんの事前の準備と会場の「埼玉県立自然の博物館」の実験室が器具も設備も整った施設であることにも助けられ、たいへんスムーズな進行で顕微鏡観察を楽しむことができました。
はじめに浅井さんから、パワーポイントによる顕微鏡観察についての目的や方法などの解説がありました。顕微鏡観察はキノコの種や分類群を同定するためのものだが、その結果が決め手になることもあるが、かえって疑問を増やす結果になることもあるというお話には、どこまで行ってもキノコは謎の世界という感を強くしました。
続いて顕微鏡観察の実習に移りました。観察用の試料は浅井さんが用意してくださったウラベニガサ・オキナクサハツ・オニイグチ・オニイグチモドキ・コオニチグチで、その胞子やシスチジアを押しつぶし法で観察しました。
きのこの肉眼的特徴・顕微鏡的特徴がともに異なる前3種の観察では、キノコの微細構造の多様性を、きのこの肉眼的特徴はあまりなく顕微鏡的特徴に僅かな違いがある。後3種の観察では顕微鏡観察の奥深さを知ることとなりました。
予定された2時間はあっという間に過ぎ、最後に浅井さんから、これから顕微鏡観察を始めるかたや続けるかたへの指針と今日の実習の成果のまとめがあり終了となりました。
(報告・大舘一夫)
培養講座
午後から行ったきのこの培養研修は、最初にテキストを見て戴きながら40分ほど説明し、実習に移行しました。実習は、次の4点行いました。@、植継の基本操作と方法。A、組織培養の基本操作と方法。B、寒天培地の分注方法。C、植継針の作り方、植継の鎌や畔掻きの作り方等。
@
植継の基本操作は、培養済みのアミガサタケ、アセハリタケ、ホシアンズタケ、シロヒラタケ、ムカシオオミダレタケ、マンネンタケ、シイタケ、マツオウジ、ギンガタケ(仮名、発光きのこ)等の試験管より新しい培地に接種するための基本操作を行いました。
ブンゼンバーナーの炎の調節、試験管の焼き加減、植継針の持ち方と焼き加減、針の冷し方等お稽古事のいろは、何時でも何処でも大変です。
A
組織培養の基本操作と方法は、市販のシイタケやマイタケを手で裂いて、露出させ
た組織を焼いたメスで2〜3ミリ切り、焼いた植継針で試験管の培地面に植える操作を行いました。 メスの先端に焼き色が付かない程度と言っても、初めて行う人には難しい事で、慣れないと上手く行きません。
B
寒天培地の分注方法は、市販のPDA培地を湯煎し、1/2PDA培地を200本の試験管に、分注する操作を皆さんに行って戴きました。
その後、綿栓を詰める作業を行いました。
C
植継針の作り方、植継の鎌や畔掻きの作り方等は、準備した小道具を使い、どのようにして作成するかを見て戴きました。
予定より15分程遅れたが、火傷や怪我も無く無事終了出来たことが何よりでした。
今回顕微鏡実習や培養実習を初めて行ってみましたが、浅井さんの話によれば、顕微鏡実習もそれなりの実習を行うには2日間位必要であるというお話が有りました。
培養実習に付いても同様に思う所です。実習は、最低1日単位が必要である事等の反省は、今後の活動に生かして行きたいと思います。
今回の実習に当たり、博物館の担当者や吉田考造さんには大変お世話に成り御礼申し上げます
(報告・福島隆一)
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