2,3日前までの天気予報ではあまり芳しくなかったが、当日は暖かい日差しの朝を迎えた。
集合場所に早く着いた私達一行3名は、そそくさと森に消えた。10月19日にエノキタケの発生を確認した場所に行くと腐れていた物も多かったが、新たな数株の発生が発見できた。同行の2人は、エノキタケ、アラゲキクラゲを採集してきた。ヒラタケの姿は確認できなかったが、多数の会員の目で見れば発見も易しい事だろうと楽観していた。
昨年は大勢のきのこたちと出会えたが、今年はどうであろうとワクワクして集合時刻を待った。大舘副会長の挨拶・事務局の連絡があり、皆さん三々五々と採集に向かわれた後、同定会場の設定を行い福島会長の(キノコ汁?)到着を待った。
今年は、会員有志の方々のご好意によりキノコ汁用の栽培きのこが多数寄せられた。そうでなくてもきのこだらけの鍋に沢山の栽培キノコが入ったものだから、きのこの佃煮感も有ったのだが・・・。その他にハナビラタケの押し寿司(*花片寿司)・きのこのオコワも用意されていた。オコワは、会の発足当時のレシュピと伺い何やら30年の由緒に感慨深いものがあった。
同定会場に並んだキノコは、たくさんの種類があり、ヒラタケやエノキタケ等の晩秋型キノコの他に、初秋まで(10月中頃まで)と思い込んでいたチチアワタケが綺麗な姿で多数並んだ。
昨年の報告には漏れたが、ハナビラタケの押し寿司(*花片寿司)に付いては、「個数制限は有ったのでしょうが美味しくて内緒で4つも食べてしまった」との声が寄せられた。
注(*)文中ハナビラタケに花片茸や花片寿司という字を当てた。花弁茸とするのが妥当なのだろうが、花弁は旺盛な様で、花片は萼を離れた様であり【あはれ】を感じさせ、何やら奥行に通じることから私の一存でそうさせてもらった。或は、その生態から旺盛の方が良いという方もいらっしゃるとは思うが・・・。
文責、野沢 潔
秋が瀬公園野外勉強会確認種
報告 福島隆一
ヒラタケ 撮影 門倉 めぐみ ヒメナカグロモリノカサ撮影 富田 稔 コザラミノシメジ撮影 富田 稔
pholiota sp pholiota sp アラゲキクラゲ 撮影 いずれも門倉 めぐみ
ハラタケ目
ヒラタケ科
ヒラタケ属 ヒラタケ
スエヒロタケ科
スエヒロタケ属 スエヒロタケ
シメジ科
シメジ属 ハタケシメジ
キシメジ科
ムラサキシメジ属 ムラサキシメジ
キシメジ属 ミネシメジ
ヒメムキタケ属 ヒメムキタケ
タマバリタケ科
エノキタケ属 エノキタケ
ラッシタケ科
クヌギタケ属 チシオタケ
所属科未定
ザラミノシメジ属 コザラミノシメジ
テングタケ科
テングタケ属 ツルタケ
ウラベニガサ科
ウラベニガサ属 Pluteus sp. ベニヒダタケ
ハラタケ科
ハラタケ属 ヒメナカグロモリノカサ
ノウタケ属 オニフスベ
ホコリタケ属 キホコリタケ?
ナヨタケ科
キララタケ属 キララタケ、コキララタケ
ナヨタケ属 Psathyrella
sp.
モエギタケ科
スギタケ属 ヌメリスギタケモドキ? Pholiota sp.
アセタケ科
アセタケ属 カブラアセタケ、オオカブラアセタケ、キヌハダトマヤタケ
チャヒラタケ属 クリゲノチャヒラタケ
イグチ目
ヌメリイグチ科
ヌメリイグチ属 チチアワタケ
ニセショウロ科
ニセショウロ属 ニセショウロ
ベニタケ目
ベニタケ科
ベニタケ属 アイバシロハツ、ドクベニタケ
チチタケ属 アカハツ
キウロコタケ科
キウロコタケ属 チャウロコタケ
スッポンタケ目
スッポンタケ科
スッポンタケ属 スッポンタケ
タバコウロコタケ目
タバコウロコタケ科
キコブタケ属 ネンドタケ
所属科不明
シハイタケ属 ハカワラタケ
タマチョレイタケ目
シワタケ科
ヤケイロタケ属 ヤケイロタケ
マクカワタケ科
クシノハシワタケ属 クシノハシワタケ
カミウロコタケ属 カミウロコタケ
タマチョレイタケ科
シロアミタケ属 カワラタケ アラゲカワラタケ クジラタケ
チァミダレアミタケ属 チァカイガラタケ エゴノキタケ チャミダレアミタケ
センベイタケ属 センベイタケ
マンネンタケ属 オオミノコフキタケ
シュタケ属 ヒイロタケ
所属科不明
ミダレアミタケ属 ミダレアミタケ ニクウスバタケ
キクラゲ目
キクラゲ科
キクラゲ属 アラゲキクラゲ
以上48種
観察地位外から持参された種は以下の11種でした。
狭山市智光山公園
ハタケシメジ ヤケイロタケ ニクハリタケ
日高市日和田山コナラ林
ミヤマタマゴタケ
群馬県奥利根方面
ヤキフタケ シロカイメンタケ ムキタケ オオカヤタケ?
埼玉県小川町モミ林
キハツタケ
埼玉県鶴ヶ島町東洋大学コナラ林
アイバシロハツ イロガワリシロカラカサタケ
文責 福島隆一
きのこ汁のレシピ
業務用厚肉削り節
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2袋
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昆布つゆ
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300ml
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日高昆布
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1袋
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おい鰹つゆ
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300ml
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鶏ガラ
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1羽分
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綿実油
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200ml
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つゆの素(ニンベン)
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500ml
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シイタケ
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2kg
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日本酒
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500ml
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ハタケシメジ
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500g
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麹味噌
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400g
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ハナビラタケ
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1,25kg
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玉葱18個
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2,6kg
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ブナシメジ
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1kg
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人参2本
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380g
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ウスヒラタケ
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800g
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白菜(1/2)
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1,4kg.
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マイタケ
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5袋
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大根(小)1本
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390g
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エリンギ
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5袋
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茄子12個
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1,1kg
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エノキタケ
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5袋
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ベビー帆立貝
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2袋
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マッシュルーム
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2袋
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ボイルアサリ
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2袋
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その他:短木栽培したヌメリスギタケ、ムキタケ、ヒラタケ、シロヒラタケ
冷凍したチチタケ等の持参して戴いたキノコを入れたが、多すぎて鍋に入りきれず皆さんのお土産にしました。きのこ汁の作り方は、一本27号112ページを参照下さい。
きのこのオコワ
玉葱
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1個
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ゴマ油
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100ml
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シイタケ
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600g
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出し汁
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1カップ
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ブナシメジ
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200g
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白ワイン
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1カップ
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ハタケシメジ
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500g
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鶏胸肉(皮なし)
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500g
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もち米
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1升
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醤油
|
100 ml
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きのこのオコワは、思いで深い物が有ります。
上尾南高校に勤務して居た頃、10月の末になると栗林やその周辺の畑にハタケシメジが沢山見られ、大量のハタケシメジを入れたオコワを作り、家族で美味しく食べていました。子供達も大好きになり、秋になるときのこのオコワを作ってくれとせがまれたものです。
当時は今の様に人工栽培が出来ませんでしたので野生のハタケシメジしか食べる事が出来ませんでした。
昭和63年に熊谷農業高校に赴任して最初にハタケシメジの栽培研究を始めたのには、こんな経緯が有ったのです。ハタケシメジの菌糸生長は、菌根菌のホンシメジやシャカシメジ等よりも菌糸の伸長が遅く、種菌作りの時から難航しました。菌糸が蔓延するのに3か月近く掛かり、850mlのブロービン32本培養するのに半年も掛かってしまいました。培養が済んだ頃には秋も深まり、このままではきのこを出すのが来年になってしまうと悩んでいました。
熊農の農場は、蘭(シンビジュウム)の温室が有り、温室の棚の下は何も置いていなかったので、担当の先生にお願いして棚の下に覆土したハタケシメジの瓶を置かせて貰いました。蘭の温室は一日一回灌水するのでビンの下側に穴を開けて培地が腐らないように配慮した事や真冬の時期でも最低温度が10度を切らない温室であったので、平成元年の1月に立派なハタケシメジが顔をのぞかせた時には飛び上がって喜びました。
今回食べて戴いたハタケシメジは、私と同じ頃、王子製紙と一緒に共同研究をした三重県林試の西井さんが作った菌株です。今年度、西井さんからハナビラタケの栽培を教えて欲しいと言う経緯から入手した物です。
もう一つの思い出は、昭和59年に埼玉きのこ同好会の発足式の後に7種類のキノコ料理をして、皆さん(9名)に食べて戴いた時に好評であったのが、きのこのオコワでした。そんな訳できのこのオコワは、私にとってとても思いで深い料理なのです。
作り方:もち米は、よく荒い7~8時間水に浸す。
セイロで25分程白蒸しをする。
玉葱やきのこ類を多めのゴマ油で炒め、出し汁やワインを入れ、鶏肉を入れてから多めの醤油を入れた煮汁を1/3位になるまで中火で煮詰める。
蒸し上がったもち米は飯台の様な広口の容器にあけ、煮詰めたキノコ等を汁ごとあけ、酢飯を作るように手早く混ぜる。
その後再度10分程蒸す。
出来上がったらミツバ等を散らし、香り付けをすると更に美味しくいただけます。
キノコの種類は、マイタケ、ヒラタケ、エリンギ、マッシュルーム等の粘り気の少ないキノコが良いと思います。料理は個人の好みが有りますので何とも言えませんが、きのこをたっぷりと入れたオコワは、おすすめ料理です。
ハナビラタケの鮨
酢飯(米1升に対して酢300ml、砂糖60g、塩15?)
シャリ玉詰め器(5個)を使うと便利です。シャリ玉に練梅、山海ぶし(商品名)を少し多めに塗り、ワサビを適宜付けます。
ハナビラタケ(1升に対して1kg)を30秒程湯がき、冷水に晒し、水切りして使います。
妻がハナビラタケの鮨が食べたいと言うので先日作りましたが、その時は、2合の秋田小町の新米を焚き、材料もすべて1/5の量で作りました。山海ぶしを多めにした事と、温かいうちに食べた事により、我ながら美味しく出来たと思いました。皆さんも挑戦しみて下さい。
葛西さんや野沢さんを始め、事務局、鑑定をして戴く方々には毎回お世話になりありがとう御座いました。また栽培したキノコを持参していただいた方々にもお礼を申し上げます。
文責 福島隆一 |