会長の挨拶 鑑定の様子(1)
鑑定の様子(2)
きのこ観察会報告
今年の夏は、記録的な猛暑が続きほとんど雨も降らず最悪の状態でした。園内のキノコは
壊滅的だろうと思っておりましたが、きのこ達はしぶとく子作りに励んでいました。クヌギ
や榎の下には、ベニタケ類やテングタケ類がカラカラになりながらもコケの上で傘を開かせ胞子を飛ばしておりました。乾燥によりツボと傘が癒着して開けないものも有りました。本来ならこの時期にはヤマドリタケモドキ等がボコボコ発生しているはずですが、乾燥と酷暑によりきのこの種類も量も極端に不作でした。
群馬の森では、時々ホソネヒトヨタケを見かけます。根元を掘り起こして見ると菌糸が土を固めて根の様になっています。試験管で培養すると白色の見事に発達した根状菌糸束を形成します。同様の根状菌糸束を形成するキノコにスルメタケが有ります。両者とも土中の埋もれ木等を分解するキノコであり、似た栄養生活をしているものと思われます。なぜ同じような根状菌糸束を作るのか?必ず意味が有るはずです。堆肥に生える多くのヒトヨタケ型のキノコは、菌糸が成熟すると顆粒状の菌核を形成しますが、これも意味が有る事であると思います。
きのこの形質は、生育の段階や環境の変化により大きな影響を受けるため、分類をする事がとても難しいものです。今回もオニイグチなのかコオニイグチなのか判断に迷うものが有りました。近藤さんが持ち帰り、顕微鏡で胞子の形状やシスチジアの大きさや形状によりオニイグチであることを確認して戴きました。また、クジラタケと思い記名した硬いキノコの管孔の様子を見直してみたら乱れた部分が有り、チリメンタケに変更しました。群馬の森では、黒松の切り株に赤紫タイプのマゴジャクシが多く見られます。赤松が元気で有った時には、黒色タイプのマゴジャクシを見かける事が有りましたが最近は少なくなりました。今回の観察会では、ヒラフスベが有りました。その昔スダジイの幹に黄色の美しいアイカワタケを見ておりましたが、色だけを見れば同種であるとはとても思えません。大昔、ヒラフスベの菌糸を培養して種駒を作り、栗の木に打ち込んで栽培して見たことが有りましたが、アイカワタケの様な黄色の映えた色合いのものは一つも有りませんでした。
今回参加した一日会員の中に、平成元年から熊農で三年間担任をした教え子の女性がおりました。聞いてみたらお友達の影響で最近粘菌やきのこに興味が出てきた様です。更に興味を深め、会員になって勉強をして頂けることを願っています。
今年度、一日会員として参加して戴いている女子栄養大学の学生さんから、卒業研究の一環として埼玉きのこ研究会の会員に、会に入った動機やきのこのどの様な所が好きなのか等のアンケートのお願いがありました。きのこの事は益々判らない事だらけですが、協力できるところは行って行きたいと思います 文責 福 島 隆 一
観察目録
担子菌門、ハラタケ類
ハラタケ目
キシメジ科
ダイダイガサ属 ダイダイガサ
ナヨタケ科
ヒメヒトヨタケ属 ホソネヒトヨタケ
テングタケ科
テングタケ属 テングタケダマシ、オオツルタケ、ヘビキノコモドキ
フクロツルタケ、タマゴテングタケモドキ?ヒメコナカブリツルタケ、テングタケ属不明種
ウラベニガサ科
ウラベニガサ属 ウラベニガサ属不明菌
イグチ目
イグチ科
キヒダタケ属 イロガワリキヒダタケ
ヤマドリタケ属 ヤマドリタケモドキ、コウジタケ、イロガワリ
オニイグチ属 オニイグチ、オニイグチモドキ
ヤマイグチ属 アケボノアワタケ
ニセショウロ科
ニセショウロ属 ウスキニセショウロ
ベニタケ目
ベニタケ科
ベニタケ属 シロハツ、シロクロハツ、カワリハツ、ケショウハツ
不明ベニタケ属多数
マツカサタケ科
ミミナミハタケ属 イタチナミハタケ
キクラゲ目
キクラゲ科
キクラゲ属 アラゲキクラゲ
ヒダナシタケ類
アンズタケ目
アンズタケ科
アンズタケ属 ヒナアンズタケ
タマチョレイタケ目
タマチョレイタケ科
タマチョレイタケ属 スジウチワタケモドキ
シロアミタケ属 アラゲカワラタケ、チリメンタケ
マンネンタケ属 マゴジャクシ(赤色型)オオミノコフキタケ
シュタケ属 ヒイロタケ
ウスキアナタケ属 ウズラタケ
キンイロアナタケ属 ベッコウタケ
ツガサルノコシカケ科
カンバタケ属 シロカイメンタケ
ホウロクタケ属 ホウロクタケ
アイカワタケ属 ヒラフスベ
所属科未確定
ミダレアミタケ属 ミダレアミタケ、ニクウスバタケ
タバコウロコタケ目
タバコウロコタケ科
キコブタケ属 ネンドタケ
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